はじめに
ある日のゼミ発表で,電圧電流計を使用した回路中での誤差ついて問題を解いて発表していました.発表後には先生からのツッコミを受けますが,その日は次のようなことを言われました.
”電圧・電流計の仕組みは? 高校物理の教科書に載ってるはずだけど”
僕は答えられなかったので,実機を作って確かめることにしました.最近はネットで調べれば何でも出てきますが,検流計を自作している例についてはなかなか見つかりません.
ネットで調べても作っている人があまりいないようなので,今回製作した検流計(大電流)についてここにまとめておきます.
目的
アナログ検流計を製作し,その原理を確認する.
検流計の原理
ネットで調べ物をしているときによくお世話になるWikipediaを開けば,検流計の原理についてはすぐにわかっちゃいます.
引用だけじゃ良くない気がするので,この記事用に図を作ってみました.
図1は検流計の振れる針の部分を上から見たものになります.アナログ検流計では針が振れ,その針が指す位置により値を読むことができます.
内部ではその針がコイルにくっついており,コイルに電流が流れ,横にある永久磁石の磁場により,コイルと針が動きます.コイルに流れる電流というのはもちろん接続した測定対象の回路から流れてくる電流です.
より詳細に構造を見てみます.下の図2は図1のコイル部分を横から見たものになります.
磁場のあるところで電流がコイルに流れる.これは有名な左手の法則の出番ですね.左手の指を電流,磁場の向きに頑張って合わせると,力のかかる方向がわかります.図にはFで書いてあります.ローレンツ力のことですね.
コイルにローレンツ力が働くと,コイルは軸の周りを回転します.コイルには針がついているので,電流が流れコイルが回転すると,その量が目で見えるようになるということです.
今回は検流計の自作がメインであるためより詳細な解説は省きますが,以上の説明で大体は把握できたと思います.
じゃあ作ってみよう ん?どうやって?
上の原理の通りにコイルと永久磁石を用意して作れば検流計はできるはずです.でもここでひっかかるポイントがあります.
コイルは回転するのに,そのコイルに電流を流す2本の導線はどうすりゃいいの?ってところです.
何を言っているのかというと,コイルの端っこの導線を上手く処理しないと,コイルが回転しない,ということです.上の2つの図ではどこからともなくコイルに電流が流れていますが,実際はその先には測定対象の回路があります.というか測定対象にたどり着くまでに自身の導線があります.自身の導線が自身の動きを阻みます.
さらに言うと,検流計は測定対象の回路から微小な電流しか拝借できません.大量に頂いてしまっては回路の動作に影響が出てしまいます.
つまり,微小な電流でローレンツ力が小さい状態でコイルが動く必要があります.
わずかな力で抵抗なく動かすために,コイルの導線の端っこには何らかの工夫が必要になります.
導線の処理
Wikipedia日本語ページの図にはこの問題に対する解決法の一部が描いてあります.さらに詳しく見れば,英語版のページにはより詳しい図が描かれています.
ここでは図を用意していないため,リンク先の図を見ていただくとして,解決法とは渦巻状の導線を使う,というものです.
渦巻状の導線であれば,回転動作への影響を減らすことができます.さらにその復元力により針を元の位置に戻すこともできます.
日本語のページでは導線とバネが別であるのですが,この機構では自作する場合には回転させるのは難しいでしょう.(これで動かず失敗した)
次の写真が今回自作した検流計の導線処理部分です.
今回は研究室で廃棄されていた基板の銅箔を剥がし,それを回転軸につけることで対処しました.軸は上下で切り離しています.この機構によりコイルは回転するようになりました.
完成した自作検流計
ということで完成した自作検流計がこちらです.
この検流計が動作している動画もありますので,気になる方は下のリンク先でご覧ください.というか動いてる方が見たいですよね.
問題点 どれだけ電流食うんだよ
もし上の動画をご覧になったとしたら,直流電源の電流メーターでわかるかもしれませんが,この自作検流計は200mAほど流さないと動きません.最大まで振ろうとすれば1Aとか流す必要があります.
検流計ってそんなに電流食っていいんですかね?
たぶん,じゃなくて,確実にアウトですね.
改善案
今回の当初の目的である,検流計の自作による原理の確認,は達成できました.しかしとんでもない電流バカ食い野郎なので,改善しなければとても検流計とは名乗れません.なのでいくつかの改善案を提示しておきます.
- 永久磁石を強力な物に変更する
- コイルに鉄心を入れる
- コイルの巻数を増やす
磁石をより強力な物に変更すると磁場が強くなるのでローレンツ力は大きくなります.
鉄心は透磁率の大きい物を入れることで何とかなるはずです.(あまり確証は持てませんが...) ただしコイルが鉄心により重くなると回転を妨げるかもしれないので,この案は微妙かもしれません.
コイルの巻数を増やせばローレンツ力は増えるはずです.
これらの改善案により,少ない電流でも動作する検流計を自作することが可能であると考えています.今後,時間ができれば改善していきたいと思います.
まとめ
検流計の原理を確認するために,検流計を自作しました.コイルの導線処理に一工夫し,原理通りに動作する検流計を自作できました.
ただし動作させるために大電流が必要となっています.しかしながら,いくつかの改善案により自作検流計の改善が期待できます.
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jeffy
さんが
2020/11/14
に
編集
をしました。
(メッセージ: 初版)
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