rily が 2026年10月01日23時02分39秒 に編集
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[前回](https://elchika.com/article/47c99aee-8f21-4b66-ba92-f99d735ce616/)JFETを使ったヘッドホンアンプの設計シートを公開しました。 今回はユニバーサル基板に配線して作りましたので公開しておきます。 Q.JFETってなんやねん =
と...その前に、今回入力部に使ったNチャネルJFET(接合型電界効果トランジスタ)について説明しておきます。最近は超マイナーな素子で **完全に衰退しかけている** ので紹介しておきます。
と...その前に、今回入力部に使ったNチャネルJFET(接合型電界効果トランジスタ)について説明しておきます。最近は超マイナーな素子で **小信号向けの物は完全に衰退しかけている** ので紹介しておきます。
Pチャネルは **電圧電流特性を反転** させたものとして理解してください。  今回紹介するJFETの図記号がこんな感じです。え?矢印そこ??って思われてるかたがいると思いますが、実は**ドレインとソースの明確な差はありません。** ですので、物理的に**ピンを入れ替えてもFETとして動作します。** ちなみにFETですので、**電圧駆動**となります。つまり**高インピーダンス入力な素子**として使うことができ、今回のように**入力カップリングコンデンサを省く**ことができます。 $I_D$-$V_{GS}$特性 - さて、特性を紹介します。 > >https://akizukidenshi.com/goodsaffix/2SK880_datasheet_ja_20140301.pdf 2SK880のドレイン電流$I_D$-$V_{GS}$特性です。みなさんが使われているMOSFETと**特性が違う部分があるのにお気づきでしょうか??** 実は**Nチャネルにも関わらず$V_{GS}$を負電圧で制御しているのです。** (Pチャネルは正電圧で制御) 一般的なNチャネルMOSFETは$V_{GS}$正電圧で駆動しますが、こちらはそれが **負電圧領域にシフト** しています。(Pチャネルは正電圧領域にシフト) ==このタイプを**デプレション型**といいます。実はMOSFETにも存在するので知っておいて損はないと思います。一方でみなさんがよく使われるタイプのMOSFETは**エンハンスメント型**といいます。== > >https://akizukidenshi.com/goodsaffix/2sk2232.pdf 一方で、エンハンスメント型MOSFETの2SK2232は0Vより上の正電圧領域で駆動してるのがわかります。 $I_D$の飽和 - もう一つ特徴があります。 > >https://akizukidenshi.com/goodsaffix/2SK880_datasheet_ja_20140301.pdf このグラフに**もう一つ疑問は感じませんでしたか?** 実は $V_{GS}$が$0\text{V}$ 未満の **負電圧領域しか描かれていない** のがわかります。つまりどういうことかと言いますと、 **$V_{GS}=0\text{V}$ 以上かけても$I_D$はそこから増加しない**、つまり **$V_{GS}=0\text{V}$ で$I_D$が飽和する** ということになります。$V_{GS}=0\text{V}$ のときの$I_D$を$I_{DSS}$と呼びます。 ++$V_{GS}=0\text{V}$ 、つまり **ゲートとソースをショート** させると$I_{DSS}$の電流が **$V_{DS}$に関係なく一定** で流れ、**定電流ダイオードとして使うことができます。** 実は定電流ダイオードは **JFETで出来ているのでした**。++ ++$I_{DSS}$を克服しパワー化などを実現したのが **SIT(静電誘導トランジスタ)** で**日本で開発されました** が、JFETより先に衰退してしまった気がします。。。++ 回路図 =  入力FETはCPH6904を、出力段BJTにはTTC3710B/TTA1452Bを採用しました。 また、入力カップリングコンデンサレスのDCアンプになります。直流から増幅が可能です。 ++どちらも新規設計非推奨だったと思います。部品確保にはご注意下さい。CPH6904はMCH5908で置き換えができるかもしれません。++ 使用部品 = | 部品 | 備考| |:---:|:---:| |抵抗$R$($R_{23},R_{24},R_{17},R_{21},R_{28}$を除く)|耐電力:$\frac{1}{4}\text{W}$| |$R_{23},R_{24}$|耐電力:$3\text{W}$| |$R_{17},R_{21}$|多回転半固定抵抗($R_{17},R_{21}$は一つの半固定抵抗に内蔵)| |$R_{28}$|多回転半固定抵抗| |$J_1,J_2$|CPH6904($J_1$と$J_2$が一つのチップに内蔵)| |$Q_1,Q_2,Q_{12}$|2SA1015などの様なPNP小信号低雑音トランジスタ| |$Q_{10},Q_{11}$|2SC1815などの様なNPN小信号低雑音トランジスタ| |$Q_4,Q_6,Q_7,Q_8,Q_9,Q_{14},Q_{18},Q_{20}$|$1\text{W}$〜$10\text{W}$ 程度のNPN中電力用トランジスタ| |$Q_3,Q_5,Q_{13},Q_{15},Q_{16},Q_{19},Q_{21}$|$1\text{W}$〜$10\text{W}$ 程度のPNP中電力用トランジスタ| |$U_1,U_3$|数十$\text{W}$ 台の大電力用トランジスタ(今回はTTC3710B/TTA1452B)| |$D_2$|順方向電圧が$3\text{V}$ 以上のLED| |$C_{9},C_{11},C_{13},C_{20}$|電解コンデンサ| |$C_3$,$C_{4},C_{8},C_{17},C_{18},C_{19},C_{12},C_{21}$|積層セラミックコンデンサ| |$C_{1},C_{4},C_{f2},C_{10},C_{15},C_{16},C_{17}$|セラミックコンデンサ| |$C_6$|フィルムコンデンサ| 製作 = トランジスタの$V_{BE}$の選別 -   まずそれぞれのペアとなるトランジスタ同士の$V_{BE}$を選別しました。 コレクタ(あるいはベース)とエミッタ間の電圧を測ります。 定電流回路を用意し、コレクタとベースをショートさせてコレクタに電流が流れたときの$V_{BE}$を測定しています。 ++大体$\pm 1\text{mV}$ ぐらいの差になるようにペア取りしてます。++  こんな感じで各トランジスタ$V_{BE}$を紙に記載していき、ある程度集まったらペア取りします。 ==温度で$V_{BE}$が変化するので、何度か測定しなおしてからペア取りしたほう良いです。== 配線 - ~~※ほぼ写真を取り忘れてました。~~  出力段から配線していきました。割と大変です。 ---  ~~カメラがクソなスマホで撮影したのでピンボケしてますが~~こんな感じになりました。ちなみにこの状態では動きません。  回路の調整が終わって筐体に実装したのがこちらです。ベーク基板の匂いがプンプンします。~~あ〜!!ベーク基板の香りィィー!!!~~  裏配線はこんな感じです。~~相変わらずのピンボケ具合です。カメラが癖強すぎるんです許して...~~ 発振対策 = +入力に対して、-入力に位相がπずれた信号が入って発振しないように対策を行います。大体位相が遅れてやってくるので、それを減衰させるか進ませるかになります。 今回行った発振対策を公開しておきます。コンデンサと抵抗(+コイル)を使用します。 ==発振が止まっても気を抜かず、負荷を繋いだりして本当に安定しているか確かめましょう。また発振状態では特に出力段に過大な電流が流れるため、電源を道連れにして壊す可能性があります。ですので、その状態であれば数秒程度で電源を切りましょう。 抵抗値・静電容量は発振が止まり始めた値から少し多めに余裕を持ったほうがいいと思います。== ++ちなみに位相補償用コンデンサは全部セラミックコンデンサです。オーディオ向けの~~超高価な~~部品は使ってません。++ 内部補償 -  $C_1,C_4,C_{10},C_{15}$それぞれのコンデンサが、Q1,Q2等で遅れた周波数成分を減衰させるためのバイパスコンデンサになります。大体合計約$120\text{pF}\times 2$個分入っています。ここが足りなければ発振します。 ベース抵抗とZobelフィルタ -  - トランジスタにもよりますが、大出力向けのだと遅い関係で$R_{25},R_{32}$が無いと発振します。最初は$15\Omega$で発振が止まらず$39\Omega$でやっと安定しました。 ++前述の方法で中々発振が止まらないなら、ここの抵抗を増やしてみましょう。++ - Zobelフィルタですが、こちらも無いと発振することがありました。今回も挿入しています。 フィードバック部進相コンデンサ1 -  ゲインを決定している抵抗$R_{f2}$にコンデンサ$C_{f2}$を接続します。 ベース抵抗で高周波成分を減衰させましたが、その分フィードバック信号の位相が遅れてしまいます。そこで遅れた位相を取り戻すための進相コンデンサになります。 ゲート抵抗とフィードバック部進相コンデンサ2 -  - $R_{10},R_{27}$は発振防止抵抗です。これが無いと、音量調節可変抵抗を最大もしくは最小にしたときに発振しました。 ++おそらく配線がアンテナとなってループを形成し発振した可能性があります。++ $C_{17}$はその抵抗とでループを断ち切るための減衰フィルタ用コンデンサですが、省いても正常に動いています。 - $R_{10}$に並列に接続された$C_{16}$が第二の進相コンデンサになります。前述の遅れ位相をさらに進ませます。$C_{f2}$を増やしても発振が止まらなければこれを挿入します。 ++今回は$C_{16}$を挿入してやっと発振が止まりました。出力段用トランジスタが相当遅いみたいです。++ ++この手法はユニティーゲインアンプの位相補償に使えるのではないでしょうか?++ 調整 = 位相補償を終えたら、アイドリング電流とオフセット電圧を調整します。 ==先に言っておきますが、アイドリング電流を変化させると出力オフセット電圧が結構変化するので注意です。 できれば アイドリング電流調整→出力オフセット電圧調整 の順番が良いと思います。== アイドリング電流調整 -  まず、電源を入れる前にこの抵抗を$0\Omega$になるまで端に回しておきます。 次に電源を入れて、$R_{23}$,あるいは$R_{24}$の両端の電圧を測りながら半固定抵抗$R_{28}$をグリグリ回していきます。この電圧をその抵抗値で割ったものがアイドリング電流です。 自分は$40\text{mA}$ にしました。 ==このときある可変抵抗が$0\Omega$ なのに数百$\text{mA}$以上突然流れたり、 ある点で急激に電流が増加したり、 入力の信号レベル調整用可変抵抗を回したときに電流が急変した場合、発振の可能性があります。== 出力オフセット電圧調整 -  一段目に挿入したオフセット用可変抵抗$R_{17}R_{21}$をグリグリ回していきます。ある点で出力オフセット電圧が$\pm 1\text{mV}$ を下回ります。大体それぐらいになればいいと思います。 ++ただしFETの漏れ電流で音量調整可変抵抗を回すと$\pm 1\text{mV}$を上回ることもよくあります。(CPH6904だとそうなりました) なので妥協して$\pm 5\text{mV}$以下になればいいかと思います。++ ==オフセット電圧がずっと電源電圧付近から数$\text{V}$台の場合、配線を間違っている可能性があります。== ==アイドリング電流を変化させると出力オフセット電圧が結構変化するので注意です。 できれば アイドリング電流調整→出力オフセット電圧調整 の順番が良いと思います。== 出力波形 =  272Hzの矩形波を入れてみました。妙なリンギングやオーバーシュートがほぼ無いですね。でも割とノイズが乗ってます。。。もしかしたら発振気味かも??それとも熱雑音の可能性もあります。まぁディスクリートアンプは今まで熱雑音らしきホワイトノイズが結構聞こえた経験が多いので、、、これぐらいは妥協でしょうか。。。 音の評価 = 高域がお化けのように出ます。特に金属音の弾け具合にシビレました。さらにリップ音などもものすごく聞こえて解像度お化けです。2SK2145よりCPH6904のほうが濃密で好きかもしれません。~~あぁ〜!!CPH6904の音ォ〜♬~~ 最後に = 最後に~~ピンボケ満載の~~完動してる写真を載せておきます。  カスコードバイアス用LEDがカッコよく光ります。これ感動しますよ、**完動**だけに・・・w(このあとトド岩に流刑されました)。 あと、位相補償は結構苦労しましたね。暴走したせいで途中でバイアス生成トランジスタから閃光が見えて吹き飛びましたよ(えっ?そこ飛ぶ!?!?)。。。 次回はこれ用の両電源スイッチング電源が作れたらなぁ〜と思います。