JO が 2026年01月15日21時54分32秒 に編集
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オーディオに関する私の考え その1
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音響工学
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(Jo^▽^)ノぁぃ♪ 「電子回路設計者の立場から」 私は電子回路設計・開発のスペシャリスト、いわゆるサーキットマスターとして、オーディオを感覚論や評論ではなく、電子工学および制御理論の立場から捉えている。 専門はマイコンとその周辺回路だが、設計者としての根はアナログ回路にあり、その延長としてオーディオに深く関わってきた。 本シリーズでは、現代のデバイスおよび回路技術を前提に、オーディオシステムの「あるべき姿」を再定義することを目的とする。 なお、本稿では「音の良し悪し」については語らない。音の評価は個人の主観であり、他者と完全に共有できるものではないからである。 「設計コンセプト」 扱うオーディオ回路設計の基本思想は、次の4点に集約される。 1)必要最小限のパーツで仕様を満たすこと (余計な物は要らない) 余計なものは入れない。回路は単純であるほど、設計者の意図が明確になる。 2)外界および部品の影響を極力排除すること (構成部品の影響を排除) 環境変動や部品ばらつきに依存しない構造こそが、再現性のある設計を可能にする。 3)電圧伝送ではなく電流伝送を基本とすること (ノイズに強く伝送路の影響を受けない) 電流伝送はノイズに強く、伝送路や負荷条件の影響を受けにくい。 4)可聴帯域内の位相回転を回避し、極は可能な限り可聴帯域外に追いやる。 「スピーカードライブと制御の限界」 スピーカーのドライブを電圧制御や電流制御ではなく、「電力制御」として扱うと、フィードバック制御に伴う遅れが原理的に致命的となる。 これは単に制御帯域を広げれば解決する問題ではない。 交流信号における瞬時電力はゼロクロス近傍に特異点を持つ、このため瞬時電力を制御量として扱うこと自体が制御理論的な破綻を内包している。 したがって「より高速なフィードバック」を追求する発想そのものが誤りでありフィードバックに依存しない制御構造、すなわちアクティブ制御や状態量制御へと発想を転換する必要がある。 電力は制御量ではない。 電力は評価量であり、保護・制限・長時間挙動の指標として扱うべきものであって、瞬時制御の対象にすべきではない。 「スピーカーをアクチュエーターとして扱う」 Motional Servo Bass(MSB)のように、振動板の加速度という一次の物理量を直接取得し位相遅れの少ない形で入力信号へ反映する手法は、スピーカーを単なる負荷ではなく「増幅回路 制御内」のアクチュエーターとして扱うための、現実的かつ本質的な解である。 電子回路がどれほど理想に近づいたとしても、スピーカーという物理アクチュエーターは、回路設計者にとって扱いにくい存在であり続ける。 だからこそ、どこを攻め、どこで妥協し、どこを構造で逃がすかを見極める設計者の思考が決定的に重要となる。 「位相特性を無視した最適化は存在しない」 アナログ回路設計においては、DCカット周波数を極力低域(2Hz以下)に配置し、位相補償用コンデンサの時定数を十分に高域(100kHz以上)へ追いやることで、可聴帯域内の位相回転を回避できる。 周波数特性がフラットであることは必要条件に過ぎず、それだけでは最適化されたとは言えない。 そのことを示すため、周波数(1kHz)は同一で位相のみが異なる音源を用意した。 すべて1kHz、左右同音量で、 ・左右同相(モノラル) https://drive.google.com/file/d/1Q3NCIiB2Gb4SdIOiN4p9sITpUKYXlPmc/view?usp=drive_link ・左右位相90度差 https://drive.google.com/file/d/1eFDHtFFgcbeGYk-5e5LWkcwB6rvShBsv/view?usp=drive_link ・左右位相180度差(反転) https://drive.google.com/file/d/1mE-kvTdjjxuw7Fs-nFoDEmfKNPWVc3yS/view?usp=drive_link 可聴帯域内で位相がずれるとは、こう言う事です。  「イコライザという「避けられない矛盾」 イコライザアンプだけは、オーディオ帯域内に極を持たざるを得ず、位相回転や群遅延から逃れることはできない。 この事実こそが、本シリーズにおける思考の出発点である。 この領域は、理論だけでも、シミュレーションだけでも、AIだけでも完結しない。 実装の痛みと、聴感上の違和感の両方を知る設計者だけが踏み込める領域である。