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airpocket が 2022年04月14日15時42分39秒 に編集

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※この記事は、Hackaday Prize 2022 のエントリー記事の和訳版です。  開発中のプロジェクトのため、随時更新します。 # DESCRIPTION 動画撮影はとても楽しくて便利です。今でこそスマートフォンで手軽に楽しめますが、私たちが生まれる前はもっと難しいテクニックが必要だったでしょう。 動画が手軽に撮れるというのはとても貴重なことですが、その楽しさが少し失われているような気がしています。 今回のプロジェクトでは、70年前に製造された8ミリビデオカメラを改造して、デジタル撮影を行う予定です。 少し不便ではありますが、撮影の楽しさを味わえる装置として復活させる予定です。 # DETAILS ![キャプションを入力できます](https://camo.elchika.com/f0c6317c16687acc62623daf282516cb1d51257c/687474703a2f2f73746f726167652e676f6f676c65617069732e636f6d2f656c6368696b612f76312f757365722f38666662353561372d373433312d346234382d383832642d3565323665663534343465652f32366434626134382d353332362d343532632d393335322d313061663231346163616231/) このプロジェクトで改造したカメラは、Bell & Howell の Magazine-loading 8mm camera model 172です。1950年代に制作されたカメラで、ダブル8という規格のフィルムを使用しています。フィルム送りやシャッターの動力はゼンマイ式で、一度ゼンマイを巻き上げると16fpsで約35秒の撮影ができます。また、一本のフィルムは往復撮影ができ、片面100秒程度の録画ができます。 もちろん自動制御できる項目は一つもなくて、絞りとフォーカスはレンズで操作、露出時間はフレームレートと連動して固定されています。 プレビューは見えず、ファインダーもとても小さいため、思い通りの動画を撮影するにはとてもテクニックが必要な様です。 もちろん私は8mmフィルムでの撮影などしたことはありませんが、現像するまで結果が判らないびっくり箱の様な楽しさを再現するのがこのプロジェクトの目的です。 # FILES # COMPONENTS 1 x Bell & Howell Magazine-loading 8mm camera model172 1 x raspberry Pi Zero 2 W 1 x Arducam for Raspberry Pi Zero Camera Module (OB5647) 1 x USB rechargeable 6P Battry # PROJECTLOGS ## カメラ到着 購入したカメラが到着しましたので確認します。 ![キャプションを入力できます](https://camo.elchika.com/5b95e4bc207487b6aeab556f50315b76230e6683/687474703a2f2f73746f726167652e676f6f676c65617069732e636f6d2f656c6368696b612f76312f757365722f38666662353561372d373433312d346234382d383832642d3565323665663534343465652f31396532653630642d386331382d346231372d623337322d356362663538376561356332/) カメラには二本のレンズがついていて、標準レンズとワイドレンズの様です。レンズはターレット式で、ノブを引っ張って回転させるとレンズを交換できます。 ズームレンズが無い当時、素早くレンズ交換するための良い工夫です。 メインのレンズの横にはファインダー用の小さなレンズも装備されているため、メインレンズと同じ様な視野を確認できます。 ゼンマイを巻いて、前面のラッチを引き下げるとシャッターが動きました。70年前のカメラですがとても好調に動きます。 @[youtube](https://youtu.be/8TfgWWk0yCQ) フレームレートはダイヤルを回す16~64FPSまで変更できます。測定はできませんが、ダイヤルを回すと音が変わるためフレームレートが変わっているのが判ります。 ![キャプションを入力できます](https://camo.elchika.com/e69150a5f83d7df1daad955a9fcbb703d04c8b74/687474703a2f2f73746f726167652e676f6f676c65617069732e636f6d2f656c6368696b612f76312f757365722f38666662353561372d373433312d346234382d383832642d3565323665663534343465652f39636131373334312d383735662d346532382d393932322d616331303632663965656162/) 側面にあるロックをはずすとドアが開きます。フィルムは金属製のマガジンにあらかじめセットしておき、マガジンごと変更する様です。当時主流だったオープンリール式と比べるととても便利で当時としても革新的だったのではないでしょうか。 ![キャプションを入力できます](https://camo.elchika.com/9163ab6827a88c5f615fbaac96b868f210cbf22a/687474703a2f2f73746f726167652e676f6f676c65617069732e636f6d2f656c6368696b612f76312f757365722f38666662353561372d373433312d346234382d383832642d3565323665663534343465652f65356661613766652d633736612d346438612d623638342d376635653436393836303562/) このフィルムマガジンと同じ形状のデジタル撮影ユニットを制作すれば、カメラの機能をほじしたままデジタル化できそうです。 ## システム検討 カメラの確認ができたので、システムの概要を考えてみました。 ・大きさはフィルムマガジンと同じ。 ・カメラ、制御用のマイコンもしくはSBC、記録メディア、バッテリーを含むこと。 ・バッテリーは小容量で構わないが、交換可能とする。 ・シャッタータイミングを検出する方法を備えること。 ・撮影条件は8mmカメラ側で制御するため、システム側の撮影条件は固定とする。 ・システムの撮影条件はフィルムの性能をエミュレートしたい。 ・フレームレートはカメラの最大値である64を目指す。 ・動画はシャッターと連動して撮影する。 ・動画データはフィルム一本分に相当する100secごとに一つのファイルを出力する。 ・プレビュー用のディスプレイは搭載しない。 今思いつくのはこれらの項目ですが、開発中に随時追加、変更します。 Raspberry Pi ZeroかZero2なら仕様を満足できそうです。 ![キャプションを入力できます](https://camo.elchika.com/21880726eece05cde8a023268b7320169395d36e/687474703a2f2f73746f726167652e676f6f676c65617069732e636f6d2f656c6368696b612f76312f757365722f38666662353561372d373433312d346234382d383832642d3565323665663534343465652f62393363356539622d376164612d343431342d396236312d373536346639346435313434/) ## クリーニング カメラの性能には影響ありませんが、表皮材が劣化して剥がれ始めていました。どのように仕上げるかは保留しておいて、まずはクリーニングします。 表皮材は、合成皮革のようです。糊で接着されていましたが、糊も合成皮革も周囲から硬化劣化して剥がれてきています。すべて剥がしてクリーニングしました。 新しい材料で表皮材を制作して貼り直す可能性もありますので、はがした表皮材は保管して後で寸法を測ります。 ![キャプションを入力できます](https://camo.elchika.com/3724bfb41f6e5f80affe219d7b60a5ee98359fe4/687474703a2f2f73746f726167652e676f6f676c65617069732e636f6d2f656c6368696b612f76312f757365722f38666662353561372d373433312d346234382d383832642d3565323665663534343465652f64643964316664342d313364642d346665362d386435622d383734663762346339353939/) ボディには劣化した糊が残っていますが、頑張って磨きます。すべて一度にクリーニングするのは難しいので、毎日少しずつ進めることにします。 ## 分解修理 購入直後は調子が良かったのですが、急にシャッターが動かなくなりました。古い機械ですのでこのようなトラブルも併せて楽しみます。 ボディの四隅にあるマイナスネジを外すと、ケースのフタが外れます。 機構部はさらに6個のネジで固定されています。 ファインダーのレンズが機構部にも接合されているため、対物、対眼の両方のレンズも外すと、機構部が取り出せました。 ![キャプションを入力できます](https://camo.elchika.com/6b7d5f10cb37910e85b89e43b8d3d93e32d343cc/687474703a2f2f73746f726167652e676f6f676c65617069732e636f6d2f656c6368696b612f76312f757365722f38666662353561372d373433312d346234382d383832642d3565323665663534343465652f31326539636233662d623361382d343961622d613065372d346434343036313932363937/) 部品の割れや欠けは見当たらないので、ギアを手で動かしていると少しずつ動き始めました。おそらく劣化したグリスやほこりが歯車に挟まったのだと思います。 古いカメラや時計の故障の多くはグリスの劣化によるものだそうです。 @[youtube](https://www.youtube.com/shorts/AEBUAM2QeFk) ## イメージセンサの選定 次に、デジタルカメラ化するためのイメージセンサを選定します。イメージセンサは、シャッターのすぐ後ろに配置する必要がありますが、フィルム室の大きさに制限があるため小さなセンサボードでなければなりません。 センサの入るスペースは最大幅が20mm、光軸を合わせることを考えると15mm以下が望ましいです。 当初はRaspberry Pi Camera V2を使用する予定でしたが、ボード幅が25mmあるため入りませんでした。 そこで[ArducamのOV5647というイメージセンサを搭載したカメラボード](https://www.arducam.com/product/arducam-for-raspberry-pi-zero-camera-modulenoir-1-4-inch-5mp-ov5647-spy-camera-with-flex-cable-for-pi-zero-and-pi-compute-module/)を入手してみました。 ![キャプションを入力できます](https://camo.elchika.com/453cc482ab9fb857947f644f5870015cc40947ae/687474703a2f2f73746f726167652e676f6f676c65617069732e636f6d2f656c6368696b612f76312f757365722f38666662353561372d373433312d346234382d383832642d3565323665663534343465652f31383536393330342d343330642d346561622d623934312d396435346664353739393231/) センサ部分の幅が8.5mmしかないため、フィルム室内に自由に配置できそうです。 センサーサイズは3.68mm x 2.76mmです。ダブル8のフィルムに記録される画像サイズが4.37mm×3.28mmですので画角が約84%まで減少しますが許容範囲とします。 実際にテストしてみるとRaspberry Pi CameraのIMX219よりも画質は劣るものの、800x600サイズで90fpsでのデータ転送が可能でした。今回のプロジェクトではシャッターのタイミングにシンクロさせて最大64fpsでの撮影を計画しているため、十分対応可能な性能を持っていることが確認できました。 ## イメージセンサの殻割り イメージセンサを設置するにあたり、レンズは8mmカメラのレンズを使用する為OV5647に付属のレンズは不要なため取り外しました。しかし、イメージセンサーの筐体が邪魔で、焦点位置に設置できないため殻割りをおこないました。 イメージセンサのシェルはボトムパーツに溶着(おそらく振動溶着)されているため、溶着部分を破壊する必要があります。シェルの接合部の四隅にニッパーの刃を入れて切断すると溶着を部を破壊できました。 心配したセンサーの損傷もありません。 ![キャプションを入力できます](https://camo.elchika.com/f7a8be5d13b2774d2811374847df6b749ab93671/687474703a2f2f73746f726167652e676f6f676c65617069732e636f6d2f656c6368696b612f76312f757365722f38666662353561372d373433312d346234382d383832642d3565323665663534343465652f32663837653035372d373237372d343837372d623566372d353036636665306233386635/) せっかくセンサーを観察する機会を得たため、顕微鏡で撮影してみました。 残念ながら倍率が不足しておりセンサーのパターンなどは見えませんでした。 ![キャプションを入力できます](https://camo.elchika.com/ab240a756f2a8a65744d68a2adbce14d24afb9de/687474703a2f2f73746f726167652e676f6f676c65617069732e636f6d2f656c6368696b612f76312f757365722f38666662353561372d373433312d346234382d383832642d3565323665663534343465652f38653163623964622d313631302d343735612d383233372d323765633338613839626363/)

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## ソフト開発に着手

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8mm フィルムカメラは、フィルムのコマ送りとシャッタータイミングが連動しています。イメージセンサを制御する際も、何らかの方法でシャッタータイミングを検出し、画像を撮影しないといけません。撮影した画像データはあとでつなげて動画に変換します。 まずはテストopencvを使って指定したタイミングで写真を撮影し、動画に変換してから出力するコマ撮りツールを作成しました。 @[youtube](https://www.youtube.com/watch?v=f7R3jqtBfjw) いい感じです。

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