(Jo^▽^)ノぁぃ♪
本稿は『オーディオに関する私の考え』シリーズの第3回であり、前回は電源回路について述べました。
今回はMCカートリッジからヘッドアンプまでの新しい構成を述べる。
「この投稿について知っておいてほしい基本ルールや前提」
私は電子回路設計・開発のスペシャリスト、いわゆるサーキットマスターとして、オーディオを感覚論や評論ではなく、電子工学および制御理論の立場から捉えている。
マイコン制御やアナログ・パワエレ回路が専門だが、設計者としての根はアナログ回路にあり、その延長としてオーディオに深く関わってきた。
本シリーズでは、現代のデバイスおよび回路技術を前提に、オーディオシステムの「あるべき姿」を再定義することを目的とする。
なお、本稿では「音の良し悪し」については語らない。音の評価は個人の主観であり、他者と共有できるものではないからである。
本シリーズで扱うオーディオ回路設計の基本思想は、次の4点に集約される。
1)必要最小限のパーツで仕様を満たすこと (余計な物は要らない)
余計なものは入れない。回路は単純であるほど、設計者の意図が明確になる。
2)外界および部品の影響を極力排除すること (構成部品の影響を排除)
環境変動や部品ばらつきに依存しない構造こそが、再現性のある設計を可能にする。
3)電圧伝送ではなく電流伝送を基本とすること (ノイズに強く伝送路の影響を受けない)
電流伝送はノイズに強く、伝送路や負荷条件の影響を受けにくい。
4)可聴帯域内では位相を安定させ、極は可能な限り可聴帯域外に追いやる。
今回もこの4原則に沿って構成する
「回路構成のコンセプト」
1)低ノイズ 「ノイズを発生させない」
2)電流伝送 「ノイズを受けない」
3)インピダンス整合 「負荷の最適化」
全く新しい回路をAIに投げても「過去に事例が無い」ので頓珍漢な回答が返って来る、そこでAIに理解させるために構造を明示して「順を追って説明する」
「カートリッジに付いて」
MCカートリッジは、電圧源で発電機でもある
1)高インピダンス型
出力電圧 0.25~0.35 mV(1kHz)
内部インピダンス 40 Ω
推奨負荷抵抗 100 Ω
推奨負荷抵抗を接続した場合の出力電流 3μA(1kHz)
2)低インピダンス型
出力電圧 0.05~0.2 mV(1kHz)
内部インピダンス 2~3 Ω
推奨負荷抵抗 10 Ω
推奨負荷抵抗を接続した場合の出力電流 10μA(1kHz)
「推奨負荷抵抗」
MCカートリッジは、小さな発電機です。
針が動くとコイルが磁界の中で振動し、電圧が発生します、このとき、アンプ側に接続する「負荷抵抗」の値によって、コイルの動き方が変わります。
負荷抵抗値が小さい
→ 電流が多く流れる
→ コイルに強い逆起電力が発生する
→ 振動が強く抑えられる(強いブレーキ)
負荷抵抗値が大きい
→ 電流があまり流れない
→ 逆起電力が弱い
→ 振動があまり抑えられない(弱いブレーキ)
つまり、負荷抵抗は、「電気的なブレーキの強さ」を決める部品です。
このブレーキが強すぎると高域が減衰し、弱すぎると共振が強調されてピークが出ます。
そこでメーカーは、機械系の共振特性と電気的制動のバランスが最適になる値を「推奨負荷抵抗」として指定しています。
設計者が意図した周波数特性を得るためには、この値を守ることが重要です。
なお、信号源と負荷のインピダンス関係を適切に保つことを、一般に「インピダンス整合」と呼びます。
「出力電圧」
MCカートリッジは、発電機として理想に近づけた結果、インダクタンスを犠牲にして出力を捨てた構造なので出力電圧がMMに比べて低い
そこでMCカートリッジは、MMカートリッジのレベルに合わせて、昇圧トランスや超低雑音ヘッドアンプが必要になる、しかしトランスは磁気ヒステリシスと帯域制限がある
MCカートリッジの出力電圧は、1kHzでの「定格値」で有る
ここでイコライザアンプのRIAAカーブのグラフを見て頂きたい
図に示すRIAAカーブから、標準 RIAA の高域時定数 75μs(約2.12kHz)から計算すると 20kHzで19.9dB 程度、つまり、カートリッジで発生する出力電圧は20kHzで1kHzの10倍に達する。
これは「定格値」なので、45回転のLP等は外周近辺の「線速度」が早く「定格値」の何倍もの電圧が発生する可能性が有る。
今回は
高インピダンス型の最大出力電圧(6mV/20kHz)
低インピダンス型の最大出力電圧(2mV/20kHz)
を基準に設計を進める
MCカートリッジとは言え増幅率を欲張ると、MCヘッドアンプの出力は予想だにしない電圧と成り、次段のイコライザアンプの入力にも影響する。
「従来型の電圧伝送のアンプ」
従来の電圧駆動方式ヘッドアンプでは、カートリッジ→ケーブル(単心シールド)→電圧増幅回路
ヘッドアンプの出力電圧を5mVとすると
1)高インピダンス型 利得16倍 24dB
2)低インピダンス型 利得50倍 33dB
の増幅度が必要と成る
「高インピダンス型 MCカートリッジ電圧伝送の回路」
使用するOPアンプは「LT1115CN8#PBF」 試作に便利なDIPパッケージで設計してみた。
https://www.analog.com/media/en/technical-documentation/data-sheets/lt1115fa.pdf
https://www.digikey.jp/ja/products/detail/analog-devices-inc/LT1115CN8-PBF/889151
優先課題のノイズ 0.9nV/√Hz
入力バイアス電流 10nA
入力オフセット 最大100μV
電源電圧:±2V~±20V
8ピンDIP
\1,649
100Ωはダンピング抵抗、カートリッジとの「インピダンス整合」の為 必須です。
回路は非反転増幅回路、出力のノイズは使用するOPアンプの入力換算雑音指数(0.9nV/√Hz) X 増幅率16倍
帰還抵抗の位相補償コンデンサとのfcは106kHZ
「従来型電圧伝送方式の問題点」
ここで、従来の電圧伝送方式MCヘッドアンプの問題点を整理する。
問題点の本質は「インピダンス整合・伝送・増幅を同時に満たそうとしていること」であり、本提案ではこれらを空間的に分離する
入力ノイズは避けられない
非反転アンプ構成では、入力換算雑音は
・OPアンプの電圧雑音 nV/√Hz
・入力抵抗(ダンピング抵抗+入力バイアス回路)による熱雑音
・増幅率分だけ持ち上げられた出力雑音
がそのまま次段へ伝達される。
特にMCカートリッジは出力電圧が極端に小さいため、
「増幅率を上げる=ノイズも同時に増幅する」
という構造的矛盾を抱える。
・高インピダンス型の増幅率16倍 ノイズもOPアンプの0.9nV/√Hzx16倍 455nV/1kHz
・低インピダンス型の増幅率50倍 ノイズもOPアンプの0.9nV/√Hzx50倍 1.42μV/1kHz
高インピダンス型の MCヘッドアンプ
OPアンプのノイズ 0.9nV/√Hz とすると1kHzで28.5nV 非反転増幅回路で「増幅率16倍」の場合のノイズは1kHzで 455nV
OPアンプの出力電圧 1kHzで 5mVとすると、ノイズ率0.009%
低インピダンス型の MCヘッドアンプ
OPアンプのノイズ 0.9nV/√Hz とすると1kHzで28.5nV 非反転増幅回路で「増幅率50倍」の場合のノイズは1kHzで 1.42μV
OPアンプの出力電圧 1kHzで 5mVとすると、ノイズ率0.028%
先の計算で、カートリッジの20kHzでの出力電圧は最大(6mV/20kHz)X増幅率16倍=出力電圧(最大)96mV
「ケーブルが信号系の一部になる」
電圧伝送では、
・ケーブルの寄生容量
・シールドの状態
・接触抵抗
・外来ノイズ
がすべて 信号電圧に直接重畳 される。
MCカートリッジは内部インピダンスが低いとはいえ、μVオーダの信号を扱う以上、「ケーブルを含めた系全体」が回路特性を決定してしまう。
これは再現性の観点から見て好ましくない。
ケーブル内に構成されるこの回路をμVオーダーの信号が通過する、100Ωのダンピング抵抗が無いと等価回路のCLが効いて来て「再現性」を失う
「インピダンス整合と増幅が同居している」
100Ωのダンピング抵抗は本来
・機械的制動
・電気的ダンピング
を目的としたものであり、増幅回路の都合で決めるべきものではない。
しかし従来方式では、
・ダンピング抵抗
・入力構成
・増幅率
が一体化しており、設計自由度が低い。
「ここで発想を転換する。」
MCカートリッジは、電圧源であると同時に、極めて優秀な電流源 でもある。
・内部インピダンスが低い
・発生エネルギーは微小
・インダクタンスが極端に小さい
これはすなわち、「電圧を取り出すより、電流として扱った方が理にかなっている」という事を意味する。
「MCヘッドアンプ システムの新しい提案」
先ずは「ダンピング回路」
高インピダンス型カートリッジ直近(1cm以内)でダンピング抵抗を接続する、ケーブルの影響は無いので「ノイズ」を拾う事は無い
この時の回路電流は、0.3mV/100Ω=3μA(1kHz)
「先端 短絡」
ここにケーブルを接続する「但し 先端短絡」
カートリッジ直近の100Ωを「ケーブル側から見ると」カートリッジの出力電圧を回路電流に変換する言わば「電流駆動条件を規定する負荷抵抗」
ここが本題です、ケーブル先端を短絡すると、ケーブル両端電圧 ≒ 0V よって、
・線間容量に電圧が掛からない
・外来電界ノイズは電圧として重畳しにくい
・ケーブルの容量起因の影響を大幅に低減できる
容量性ノイズは「Ic = C × dV/dt」なので、Vが存在しなければ容量経由の電流は流れない、ケーブルの“容量性ノイズ”を大幅低減
「先端短絡をI/V回路に置き換える」
ケーブル先端は「短絡」だが、ここに仮想接地のI/V変換をOPアンプにより構築すればケーブルの影響を排除する「擬似電流モード伝送」が実現出来る。
「回路の説明」
ダンピング抵抗で機械系を確定し、信号は電流として無電圧状態で伝送し、後段で電圧に再構成する。
±5Vの電源は、前回投稿の「オーディオに関する私の考え その2」で設計した、CAAP 「Control-Theoretic Approach to Audio Power」 (制御理論に基づくオーディオ電源)で構成
使用するOPアンプは「LT1115CN8#PBF」、直近にパスコン必須ですが、当然必要なのであえて記載なし。
全体の回路動作は
高インピダンス型カートリッジ→100Ω(電流駆動条件を規定する負荷抵抗)→擬似電流モード伝送→仮想接地回路によるI/V変換→出力
仮想接地のI/V変換はノイズに強い
非反転のOPアンプでは「入力換算雑音」X帰還抵抗によるゲイン分のノイズ増幅と成るが、I/V変換では、電流→電圧 の物理量変換であるので、ノイズ電圧で増幅されないが、トランスインピダンス利得で電圧化される事になり、ノイズに関しては有利で、雑音は帰還抵抗の熱雑音が支配的
これは、従来の「電圧伝送+電圧増幅」方式とは根本的に異なるアプローチで、MCカートリッジの物理特性に最も合致した方式です。
なお、仮想接地の精度はOPアンプのオープンループゲインに依存するため、高周波域ではGBWの範囲内での動作が前提となる。
1nFの帰還容量はその安定性補償も兼ねている、1kΩとのfcは159kHz.、最初に述べた「4)可聴帯域内では位相を安定させ、極は可能な限り可聴帯域外に追いやる。」を実践している
「回路動作」
高インピダンス型と低インピダンス型の回路動作の説明
「高インピダンス型」
出力電圧 0.25~0.35 mV(1kHz)
内部インピダンス 40 Ω
推奨負荷抵抗 100 Ω
推奨負荷抵抗を接続した場合の回路電流 3μA(1kHz)
この電流がシールドケーブルで伝送され、後段の仮想接地I/V回路で増幅
OPアンプの出力電圧は、3μAX1kΩ=3mV(1kHz)
帰還抵抗(1kΩ)と1nFによるfcは159kHz
OPアンプ出力の1kΩのダンピング抵抗は「必須」です、OPアンプの出力を直接「基板外」へ出してはいけません、外部よりのノイズが高周波の場合OPアンプの出力段では抑えきれず、位相補償コンデンサ(この回路では1nF)を通過して、OPアンプの反転入力に達します、酷い場合は不安定どころか発振さえ誘発します
ダンピング抵抗の副作用は出力インピダンスの上昇と「次段」への信号レベル低下ですが、測定器回路では無いので出力低下はプリアンプのレベル調整できます。
「低インピダンス型」
出力電圧 0.05~0.2 mV(1kHz)
内部インピダンス 2~3 Ω
推奨負荷抵抗 10 Ω
推奨負荷抵抗を接続した場合の出力電流 10μA(1kHz)
この電流がシールドケーブルで伝送され、後段の仮想接地I/V回路で増幅
OPアンプの出力電圧は、10μAX1kΩ=10mV(1kHz)
帰還抵抗(1kΩ)と1nFによるfcは159kHz
OPアンプ出力の1kΩのダンピング抵抗は「必須」です、OPアンプの出力を直接「基板外」へ出してはいけません、外部よりのノイズが高周波の場合OPアンプの出力段では抑えきれず、位相補償コンデンサ(この回路では1nF)を通過して、OPアンプの反転入力に達します、酷い場合は不安定どころか発振さえ誘発します
ダンピング抵抗の副作用は出力インピダンスの上昇と「次段」への信号レベル低下ですが、測定器回路では無いので出力低下はプリアンプのレベル調整できます。
「ノイズ特性」
従来方式のノイズ(455nV、1.42μV) に対して、本回路はOPアンプの電圧雑音(0.9nV/√Hz)は支配的でなくなり、電圧利得 Av ではなくトランスインピダンス利得 Rf であり、入力の電圧雑音が ‘(1+Rf/Rs)’ のような形で増幅されない
LT1115 の電流雑音は 1kHz で 1~2pA/√Hz クラスなので、1kΩのトランスインピダンス利得だと 1~2nV/√Hz 相当になります(28nV/1kHz)
従来方式455nV/1kHzに対して十分な雑音抑圧効果が有ります
「位相特性」
本回路は「反転増幅」なので、ヘッドアンプの出力は「位相反転」しています、正相にする場合は、カートリッジのホットとコールドを入れ替える事で解決します。
仮に、ケーブル容量100pFが存在しても、仮想接地により電圧振幅が極小のため位相への影響は限定的。
トランスインピーダンスアンプ(TIA)はフォトダイオードアンプや光ファイバー受信機では標準技術です。「TIA自体は既存だが、MCカートリッジのダンピング機構と組み合わせてケーブルを擬似電流モード伝送路として使用する構成はオーディオ分野では独自の提案である。
高価なパーツに頼るのではなく、理論に基づいた構成によって「外界の影響を受けないシステム」を実現する。
投稿の様に、すべての部品には「選択の理由」が有ります、ネットや書籍の「参考回路+シミュレーション」で設計するのでは無く、ゼロベースで設計すると今回の様な回路が発想出来ます。
私はこの回路を、仮想接地による電流伝送、 VCT回路(Virtual Current Transmission)と名付けた。
本投稿は「再現性を保てるか」を主眼に置いており、現時点では理論構成の妥当性検証段階である。
もし分かりにくい点があれば、上記をコピーしAIに投げてみてください。私の意図を、もっと分かりやすく説明してくれるかもしれません。
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JO
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