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JO 2026年04月05日作成 (2026年04月05日更新)
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オーディオに関する私の考え その4

オーディオに関する私の考え その4

(Jo^▽^)ノぁぃ♪

本稿は『オーディオに関する私の考え』シリーズの第4回であり、前回はMCカートリッジの電流伝送について述べた。

本稿の要点は
・MM+ケーブルは本質的に減衰二次系(RLC)であり、位相回転が問題の本質
・100kΩダンピングにより一次系へ変換し、極を可聴帯域外へ追いやる
・その状態を保持したまま電流伝送するため、JFETトランスコンダクタ+VCTを提案

「この投稿について知っておいてほしい基本ルールや前提」

私は電子回路設計・開発のスペシャリスト、いわゆるサーキットマスターとして、オーディオを感覚論や評論ではなく、電子工学および制御理論の立場から捉えている。
マイコン制御やアナログ・パワエレ(パワーエレクトロニクス)回路が専門だが、設計者としての根はアナログ回路にあり、その延長としてオーディオに深く関わってきた。

本シリーズでは、現代のデバイスおよび回路技術を前提に、オーディオシステムの「あるべき姿」を工学的観点から再定義することを目的とする。
なお本稿では「音の良し悪し」については論じない。音の評価は個人の主観に依存するものであり、他者と完全に共有可能な客観的尺度を持たないからである。

「本シリーズで扱うオーディオ回路設計の基本思想は、次の4点に集約される。」

1)必要最小限のパーツで仕様を満たすこと(余計な物は要らない)
 画期的な回路とは、不要な自由度を排除し、基本法則に立ち返り、最小の構成で最大の効果を引き出すものである。
2)外界および部品の影響を極力排除すること(構成部品の影響を排除)
 環境変動や部品ばらつきに依存しない構造こそが、再現性のある設計を可能にする。
3)電圧伝送ではなく電流伝送を基本とすること(低インピーダンス化によりノイズおよび伝送路依存性を低減する)
 電流伝送はノイズに強く、伝送路や負荷条件の影響を受けにくい。
4)再生システムで可聴帯域内に極がある場合、位相回転そのものよりも、群遅延の急峻な変動や周波数依存性の非線形性を抑えることが重要である。
特に、高Qの極や零点が帯域内に存在する場合には、条件によってはリンギングやトランジェント応答の劣化を招き違和感として現れる可能性がある。
周波数特性のフラットさは重要な設計要件であるが、それだけでは時間軸上の整合性や空間的な再現性を十分に保証するものではない。

今回もこの4原則に沿って構成する 。

全く新しい回路の完成形をそのままAIに評価させるよりも、機能ごとのブロックに分割し、それぞれについて「何を実現したいのか(意図)」「どのような条件で成立するのか(前提)」「どのように振る舞うと考えるのか(仮説)」を明示する。
これによりAIは各ブロックを既知の回路として解釈しやすくなり、局所的な検証と全体の統合の双方が可能になる。結果として、一般論に留まらず、設計意図に沿った具体的かつ踏み込んだ検討へと発展させることができる。

「本稿の結論」

MMカートリッジのインダクタンスとケーブル容量による二次共振を防ぎ、カートリッジ直近で電流変換することで、ケーブル影響を排除した新しいMMヘッドアンプ構成を提案する。

「なぜMMカートリッジなのにヘッドアンプか」

MMカートリッジはヘッドアンプなしでも直接イコライザアンプに入力する事が出来るが、そこには種々の問題がある、先ずはMMカートリッジについて解説したい。

「MMカートリッジの生い立ち」

その昔、増幅回路が「真空管」しか無かった時代にMMカートリッジは誕生した。
当時の増幅回路はノイズが多く、これに影響されない「高出力」のカートリッジが求められて、出力電圧の大きなMMカートリッジが考案された。

「MMカートリッジの特性」

出力電圧 3~5 mV
推奨負荷 47kΩ + 150~300 pF
内部抵抗   1~3 kΩ
インダクタンス 400~600 mH

「MMカートリッジの問題点」

MMカートリッジは高い出力電圧を得る為にコイルの巻き数が増大しインダクタンスも上昇した、この大きなインダクタンスが問題の根源である
例えば
L = 500 mH
推奨負荷容量 C = 200 pF
とすると共振周波数は、f = 1 / (2π√LC) =15.9 kHz 「一般的なMMカートリッジ(L500 mH)と、推奨負荷容量の中間値(C200 pF)を用いた場合の一例である。」
可聴帯域内に減衰二次系として振る舞っている、これが高域ピークの原因で、負荷容量指定が厳密な理由で、「47kΩ + 容量規定」が存在する理由に直結します。
この標準的な設定は、カートリッジ自体のインダクタンスと浮遊容量による高域の減衰を、あえてLC共振によるピークを作ることで補完(平坦化)するという手法でした。
しかし、これには「急峻な位相回転」という副作用が伴います。

シミュレーションしてみました

MMカートリッジの負荷  47kΩ + 200pF

グラフにある様に15.9 kHzで僅かにピークが確認出来ます
可聴帯域内に位相回転が見られます、ここで重要なのは、「振幅より位相のほうが設計上の本質」であり、振幅ピークは 1dB未満でも、位相回転は可聴帯域内で既に始まっている。
並列RLCでのQ値を試算すると、Q=0.94 かつての設計は、カートリッジ自体の高域減衰を、あえてこのLC共振によるピークで「補完(平坦化)」するという手法であった。しかし、これには急峻な位相回転という、時間軸上の再現性を損なう大きな副作用が伴う。

「ケーブルを含めた等価回路の再定義」

先ずケーブルの電気的等価回路

キャプションを入力できます

この回路をMMカートリッジの出力電流が流れ、推奨負荷 47kΩの両端に現れる電圧を観測しているに過ぎない
つまりこれは、「電圧伝送」ではなく、電流によって規定される電圧生成回路です
私の回路基本構想  4)可聴帯域内では位相を安定させ、極は可能な限り可聴帯域外に追いやる必要がある
この問題をより深く理解するために、カートリッジとケーブルの等価回路から見直してみよう

従来型 電圧伝送

「MMカートリッジと伝送路の特徴」

1)出力インピーダンスが周波数依存(sL)
2)負荷も周波数依存(1/sC)
3)よって分圧比も周波数依存
これは“伝送”ではなく“フィルタ動作”です。

MMカートリッジは理想電圧源ではない、周波数によって電源モデルが変化する。
コイルのインピーダンス sL が周波数とともに増加するため、負荷抵抗に対して電流源的な振る舞いに近づく。
つまりMM+ケーブルは、意図せず設計された減衰二次低域フィルタです。

「電流伝送」

前回投稿した「MCヘッドアンプ」では、周波数特性・位相特性共に良好で、これをMMカートリッジに使えないか検証する

「MCヘッドアンプ」では、仮想接地を用いた電流伝送方式であり、以後「VCT(Virtual Current Transmission)」と呼ぶ。

仮想接地による電流伝送(VCT回路)でMMカートリッジ直近に47kΩの負荷を接続すると、出力電圧4mVに対して回路電流は85nAとなる。
LT1115の入力換算ノイズ電流は1 pA/√Hz程度であり、85 nAの信号電流に対してS/Nが著しく悪化するため実用的でない。
MMカートリッジは高インピーダンスゆえ、電流伝送は原理的に成立しにくい

「新たな電流伝送の模索」

ここからが、以前の投稿「オーディオに関する私の考え その2」で述べた「発想そのものが別次元の領域に踏み込む」というテーマの具体化です。

MMカートリッジの出力直近(ヘッドシェル内)に100kΩのダンピング抵抗を配置すれば、ケーブル容量の影響を受けず、理想的な負荷条件を実現できます。

ダンピング

推奨負荷容量(150~300pF)をあえて排除し、MMカートリッジ(500mH)+100kΩのみで構成される回路のローパスフィルタのカットオフ周波数は 31.8kHz(理想化計算)となり、共振は生じず極を可聴帯域外に追いやる事が出来る。
回路電流は、MMカートリッジの出力電圧が4mVとした場合、40nAと成る。
容量成分がないため LC共振は原理的に発生せず、1次ローパス(RL型)として動作する。
「47kΩ + 200pF」のグラフと比べると、高域にピークは無く、位相回転も20kHzで-30deg程度に収まっています。

テーブル

MMカートリッジの負荷 高域のピーク 20kHzでの位相
47kΩ + 200pF 15.9 kHzで僅かにピーク -120deg
100kΩのみ ピーク無し -30deg

MMカートリッジの負荷  47kΩ + 200pF

MMカートリッジの負荷  100kΩのみ

この「ダンピング状態」を他の方法で「電流伝送」出来ないか考えてみる。

「他の回路をのぞいて見る」

コンデンサマイクなる「回路」がある。
エレクトレットかファンタム電源で「電荷」を与えた電極の振動を「電荷」を受ける形で「電圧」に変換している。
この回路ではJFETで電圧増幅して「電圧伝送」をしています。

「JFETによる電流伝送」

先のカートリッジ+直近100kΩの信号を、JFETにより電流として伝送できないか考えてみる。
JFETを1個で用いる場合、ドレイン電流はIDSSによって制限される。
このドレイン電流を1芯シールドケーブルで伝送し、受け側にJFETのgmが安定する電圧(ここでは2.5V程度)の定電圧源を設けることで、「電流伝送」の構成が成立する。
見方を変えると、ドレイン電位を遠隔の定電圧源で固定する構成であり、リモートカスコード的な動作とも解釈できる。

電流伝送

この回路での最大の問題点はJFETの動作点である。
JFETは線形動作する電流領域で使用したいが、IDSSにはランク差や個体差が大きい。
そのためソース抵抗による局部帰還を導入する。
gmRs > 1 の条件では、JFETの非線形性は局部帰還によって大きく抑圧され、トランスコンダクタンスはほぼ 1/Rs によって決まるため、かなり線形なトランスコンダクタとして動作する。

「MMヘッドアンプ」

MCヘッドアンプで実証した電流伝送(VCT回路)を構成し、カートリッジから仮想接地I/V変換までの回路の動作を説明する
カートリッジのダンピング抵抗 100kΩ

VCT回路によるMMヘッドアンプ

「使用するJFET」

LSK170B  (IDSS = 6.0~12mA)
https://www.linearsystems.com/_files/ugd/7e8069_a086ff7323054b5da3b91e364c90b3d4.pdf
JFETの動作点 Rs=2.2kΩによる局部帰還では
 1)IDSS 6mA では ID 0.35mA
 2)IDSS 12mA では ID 0.56mA
gmRs:最低5以上  この条件なら、理論上かなり線形なトランスコンダクタになります。
LSK170Bは電圧ノイズが極めて低く(1nV/√Hz以下)、本回路のノイズ予算に適合するため採用した

JFETは同一ランクでも IDSS のばらつきが大きい素子であるが、本回路ではソース帰還抵抗(2.2kΩ)による強いローカル負帰還を与えることで動作点を自己安定化させている。
この帰還効果によりトランスコンダクタンスの個体差は大幅に緩和され、最終的な出力変動幅は約0.6 dB程度に収まり、ステレオ再生において実用上十分な一致度を得ている。
なお上記は VP 1.0~1.6V 程度を想定した計算であり、個体差によって動作点は変動する(ただしソース帰還が抑圧する)
「FETを選別しては」との意見も有るだろうが、基本思想  2)外界および部品の影響を極力排除すること  (構成部品の影響を排除)  に反する。

「使用するOPアンプ」

LT1115CN8#PBF  試作に便利なDIPパッケージ
https://www.analog.com/media/en/technical-documentation/data-sheets/lt1115fa.pdf
https://www.digikey.jp/ja/products/detail/analog-devices-inc/LT1115CN8-PBF/889151
優先課題のノイズ 0.9nV/√Hz
入力バイアス電流 10nA
入力オフセット 最大100μV
電源電圧:±2V~±20V
8ピンDIP
\1,649

「カートリッジから仮想接地I/V変換までの回路動作」

1)MMカートリッジは100kΩでダンピングされる。
2)JFETとソース抵抗による局部帰還でトランスコンダクタを構成し、電圧信号を電流として伝送する。
3)ドレイン電圧はI/V変換回路のリファレンス電圧2.5Vに固定される。
4)既存のシールドケーブル(1芯)で信号伝送と電源供給(定電圧駆動)を兼ねている。
5)I/V変換のリファレンス電圧は2.5Vとする、この2.5Vは本回路の基準電圧で安定化電源が要求される、この電圧の変動はそのままヘッドアンプ出力に現れる。
 JFETのドレイン電流(0.35mA~0.56mA)がI/V変換の帰還抵抗 2.2kΩに流れる。
 したがってOPアンプ出力の直流動作点は、約3.27V~3.73V(JFET個体差による)
 MMカートリッジ出力を5mVとすると、JFETトランスコンダクタ(0.417)により信号電流は約2.08μAとなるため、I/V変換後の信号振幅は4.58mVとなる。
 よってOPアンプ出力は3.5V±4.58mV付近で動作する。

「全体回路」

全体回路

第1段 ヘッドシェル内 JFETトランスコンダクタ
 LSK170B IDSS 10mA
 Rs=2.2kΩ、gm5mS とすると
 gm/(1+gmRs) ≒ 0.417 mS

第2段 I/V変換(低Rf・広帯域・強帰還)
 トランスコンダクタンスが 0.417mS のJFETに対し、I/V変換抵抗 Rf = 2.2kΩ を用いると、電流は電圧に変換され、入力電圧に対する等価的な電圧ゲインは 約0.92 となる。
ゲイン<1とし、安定性を優先した構成、この構成により、低い帰還抵抗による広帯域かつ安定したI/V変換 が可能となる。
 帰還抵抗 2.2kΩ と帰還コンデンサ 470pF による遮断周波数は fc 153 kHz

第3段  AC結合 → 電圧バッファ
  AC結合 1μFと100kΩによるfcは1.59Hz  
  起動時の過渡応答(ポップノイズ)は以前提案した「オーディオに関する私の考え その2」の電源でソフトスタートが実施されている

本回路は、ヘッドアンプのノイズがカートリッジノイズと同程度の領域に達している、つまりほぼ理論限界です。
ノイズ 約7 nV/√Hz(低域・アンプ起因分)。ただし100kΩダンピング抵抗のジョンソンノイズが高域で加算され、20kHz近傍では合計約17 nV/√Hz程度となる。可聴帯域の大部分をカバーする実用S/Nは70dB台前半と推算される。
定格出力 4.58mV   雑音 約 7 nV/√Hz この時のSN比はS/N比 73.2dB(20kHz帯域)
2.5Vリファレンスの雑音がJFETドレイン電流を変調し、I/V変換出力に直接現れる。例えば1μVの電源雑音は、gm_eff = 0.417mSを通じてI/V出力に電流雑音として加算される。したがってシャントレギュレータまたは低雑音リファレンスICによる安定化が必須である。

「電源回路」

±9Vの電源は、以前投稿の「オーディオに関する私の考え その2」で設計した、CAAP 「Control-Theoretic Approach to Audio Power」  (制御理論に基づくオーディオ電源)をベースに構成
https://elchika.com/article/8cef745d-7d88-471e-a937-c36a90bdc7ec/

電解コンデンサの耐電圧は、使用電圧に対して“低め”に設定するのが望ましい。
なぜなら、必要以上に高い耐電圧のコンデンサを選ぶと、構造上ESR(等価直列抵抗)が増加し、結果として熱雑音も増える可能性があるからだ。

CAAPによる電源回路

電源トランス 秋月「HP-155」  ¥1,280
https://akizukidenshi.com/catalog/g/g108734/
・1次電圧:100V
・2次電圧:15V・0V・15V
・2次電流:0.05A

79L09 20円
https://akizukidenshi.com/catalog/g/g113466/

LM78L09 20円
https://akizukidenshi.com/catalog/g/g113463/

使用するOPアンプは「LT1115CN8#PBF」、パスコン有りですが、当然必要なのであえて記載なし。

本回路は「構想段階」であり、今後更なる改良を考えている

「まとめ」

この構成ではカートリッジ直近で電流変換を行うため、MMカートリッジのインダクタンスとケーブル容量による共振の影響を大幅に低減出来る。

本回路も前回のMCヘッドアンプと同様に、仮想接地(2.5V)を利用して信号を電流として伝送する構成となっている。
すなわち信号は電圧ではなく電流としてケーブルを伝送し、受信側の仮想接地I/V変換回路で再び電圧に変換される。
この構成ではケーブルに信号電圧変動がほとんど存在しないため、ケーブル容量や外来ノイズの影響を受けにくいという特徴がある。
本回路(抵抗2本とFET)をヘッドシェル内へ基板として挿入する場合、ヘッドシェルの重量が増すので針圧調整が必要となる。

本回路で最大の課題はJFETの動作点である。JFETのIDSSには大きなばらつきがあり、ドレイン電流は完全には一定にならない。
しかし選別によって解決するのは設計思想「部品の影響を排除すること」に反する。
そこで強い局部帰還(ソース抵抗Rs)によって信号トランスコンダクタンスをRs主体で決定し、個体差の影響を実用範囲に収束させている。
さらにドレイン電流の個体差による直流オフセットを後段に伝えない回路構成として解決している。

本回路は「高価なパーツ」に依存するのではなく、理論に基づいた「構造」によって外界の影響を封じ込めることを目的としている。
既存の「参考回路のコピー」では到達できない、ゼロベース設計だからこそ見えてくる解がここにある。

本投稿は「再現性を保てるか」を主眼に置いており、現時点では理論構成の妥当性検証段階である。

もし分かりにくい点があれば、上記をコピーしAIに投げてみてください。私の意図を、もっと分かりやすく説明してくれるかもしれません。
 
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「補足:VCT原理の応用例」

ここでは、MMカートリッジへの応用とは別の発展例として、VCT原理の応用可能性を示す。

本回路は、コンデンサマイクの検出原理にヒントを得て構成したものである。
コンデンサマイクでは、振動板と固定電極で構成されたコンデンサに電荷を与え、振動による容量変化を電気信号として取り出している。

一般的なコンデンサマイクでは、容量変化によって発生する電圧変化を高インピーダンスのJFETで受け、電圧信号として取り出す構成が採られる。
しかしこの方式では、極めて高い入力インピーダンスが必要であり、配線容量や外来ノイズの影響を受けやすいという課題がある。

VCTを応用したコンデンサマイク アンプ

この回路では、この容量変化を電流として取り出す方式を採用した。
バイアス電極には高抵抗(10 MΩ)を介してバイアス電圧を供給し、容量変化によって生じる微小電流をJFETおよびOPアンプによるI/V変換回路で電圧信号に変換する。
このとき容量変化によって発生する電流は次式で表される。

i = Vbias × dC/dt

電荷 Q = CV を時間微分すると i = C・dV/dt + V・dC/dt であり、バイアス電圧一定(dV/dt=0)のとき第2項のみ残る。
すなわち、検出電流は電極のバイアス電圧と容量変化速度に比例する。
そのため、I/V変換回路によって得られる出力電圧は

Vout = Rf × Vbias × dC/dt

となり、バイアス電圧を高くすることで感度を向上させることが可能となる。
この回路では、コンデンサ電極に印加されるバイアス電圧が検出感度を直接規定するため、この電圧の安定性および低雑音性が重要となる。
電荷 Q = CV を時間微分すると i = C・dV/dt + V・dC/dt となるが、バイアス電圧にノイズや変動が存在すると dV/dt 項として検出電流に直接現れる。
そのため、バイアス電圧源には十分に低雑音なリファレンスを用いる必要がある。

この回路では、+12 V電源から 1 MΩ + 1μF のRC回路によって低雑音なバイアス電圧を生成している。
このRC回路は極めて低い遮断周波数を持つため、音声帯域では電源ノイズを十分に減衰させ、交流的には安定した基準電位として機能する。
本応用回路ではバイアス電圧12Vを扱うため、OPアンプ電源を+15Vとした。

この構成により、容量変化によって生じる電流成分のみを高いS/Nで取り出すことが可能となり、
・電極の高インピーダンス状態を維持できる
・配線容量の影響を受けにくい構成となる
・電流伝送による低ノイズ検出が可能
という特徴を持つ。

この方式は、従来の電圧検出型コンデンサマイクに対して、容量変化を電流として伝送する方式と見ることができる。
すなわち、仮想接地を利用した電流伝送回路(VCT : Virtual Current Transmission)として動作する。

この原理はコンデンサマイクだけでなく、各種静電容量センサやMEMSセンサの読み出し回路にも応用可能であり、高感度なコンデンサカートリッジ構成の一つの展開例といえる。
これらは既存の1芯シールドケーブルのみで構成出来、汎用性もかね備えている。

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電子回路の設計・開発を長くやってきた、高いスキルと「有り余る経験値」 サーキット マスターです。 マイコン制御やアナログ・パワエレ回路が専門で、数百件のプロジェクトに関わってきました。 仕事で手がけたものはクライアント案件が多く、技術資料の公開は難しいため、ここでは修理や趣味のオーディオを通して「構造を読み解く楽しさ」や「設計の面白さ」を共有できたらと思っています。 電子回路全般の設計・開発が専門ですので、修理は自身の勉強も兼ねて基板交換では無く、故障デバイスを特定して「部品交換」を目指します。
  • JO さんが 前の日曜日の0:15 に 編集 をしました。 (メッセージ: 初版)
  • JO さんが 前の日曜日の10:40 に 編集 をしました。
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