rily が 2026年10月05日01時08分54秒 に編集
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この前ディスクリートヘッドホンアンプを作ったわけですが、差動増幅回路をゲインを導出して公開しておきますね。オペアンプとかアンプを作るときに参考にしてください。 差動増幅回路のゲイン = JFET -  次に初段のゲインを求めます。一つのJFETに流れるテール電流$I_{t}$が流れているときの相互コンダクタンスを$g_{m(I_{t})}$とします。 $I_{t1}\simeq I_{t2}\simeq I_t,R_1=R_2$とすると $${A_{V(JFET)}=\frac{V_{out}}{V_{in}}=\frac{V_{out+}-V_{out-}}{V_{in+}-V_{in-}}}$$ このとき$g_m$によって出力される電圧$V_{out}$は $${V_{out}=R_{1,2}I_t =g_{m(I_t)}R_{1,2}V_{in}=g_{m(I_t)}R_{1,2}(V_{in+}-V_{in-})}$$ そして$R_1=R_2$としたとき $${A_{V(JFET)}\simeq g_{m(I_{t})}R_1}$$ ですね。 ++近似値となるのは、$g_{m(I_t)}$が$I_t$によって変化するからです。++ つまりゲイン$G_{(JFET)}$は $${G_{(JFET)}\simeq 20\log_{10}(g_{m(I_{t})}R_1)}$$ ==$g_{m(I_t)}$は$I_t$を増やすことによって増加するため、$I_t$を増やすことによりゲイン$G_{(JFET)}$も増えます。== BJT -  同じく差動増幅回路なので $${A_{V(BJT)}=\frac{V_{out}}{V_{in}}=\frac{V_{out+}-V_{out-}}{V_{in+}-V_{in-}}}$$ ここでBJTの相互コンダクタンス$g_{m(It)}$による$I_t$は $${I_t=g_{m(I_t)}V_{in}}$$ このとき$g_{m(It)}$は $${g_{m(It)}=\frac{I_t}{V_T}}$$ ボルツマン定数$k$と熱力学温度$T$、電気素量$e$で熱から得られた電子のエネルギーを$eV$とすると $${eV=kT\to V_T=\frac{k(273+t)}{e}}$$ $${g_{m(I_t)}=\frac{eI_t}{k(273+t)}=1.16\times 10^4\times \frac{I_t}{273+t}}$$ つまり$I_t$は $${I_t=\frac{eI_t}{k(273+t)}V_{in}=1.16\times 10^4\times \frac{I_t}{273+t}V_{in}}$$ そして$R_1=R_2$としたときの$V_{out}$は $${V_{out}=I_tR_1=1.16\times 10^4\times \frac{I_tR_1}{273+t}V_{in}}$$ つまり増幅率$A_{V(BJT)}$は $${A_{V(BJT)}\simeq 1.16\times10^4\times \frac{R_1I_t}{273+t}}$$ ゲイン$G_{(BJT)}$は $${G_{(BJT)}\simeq 20\log_{10}\{1.16\times10^4\times \frac{R_1I_t}{273+t}\}}$$ ++$I_t$と$R_1,R_2$を同じ条件としたとき、ゲイン(増幅率)はJFETよりBJTのほうが大体大きくなります。++ ==JFETのときと同様、$I_t$を増やすことによりゲイン$G_{(JFET)}$も増えます。== ゲインまとめ - - JFET $${A_{V(JFET)}\simeq g_{m(I_{t})}R_1}$$ $${G_{(JFET)}\simeq 20\log_{10}(g_{m(I_{t})}\times R_1)}$$ - BJT $${A_{V(BJT)}\simeq 1.16\times10^4\times \frac{R_1I_t}{273+t}}$$ $${G_{(BJT)}\simeq 20\log_{10}\{1.16\times10^4\times \frac{R_1I_t}{273+t}\}}$$ ==ちなみに、片方の出力($V_{out}+$あるいは$V_{out}-$)のみを使用する場合、$A_V$は半分になります。つまり$G_{half}=G-\log_{10}(2)$になります。== ## 余談 ### 差動増幅回路の直流電流カットコンデンサの特性 - おそらく、バイポーラトランジスタでアンプを設計すると、ベース電流のカットオフコンデンサを入れる必要が出てくると思います。 - ですのでそれについて解説しておきます。  - バイポーラトランジスタはベース電流が常に流れます。またその電流は音量調整用可変抵抗にも流れてしまいます。その結果音量調整と同時に出力オフセット電圧が大きく変化してしまいます。 - それを阻止すべく、ベース電流をカットするためのコンデンサが$C_c$になります。 - $R_{b2}$は$Q_1$にベース電流を供給するための抵抗になります。 - ではベース電圧$V_B$の周波数特性を求めて、適切な$C_c$と$R_{b2}$を求めます。 --- $C_c$と$R_{b2}$を直列RCフィルタを見て、その直列インピーダンス$Z$は $$Z(\omega)=R+\frac{1}{sC_c}=\frac{sC_cR_{b2}+1}{sC_c}$$ つまりベース電圧$V_B$は $$V_B\simeq \frac{V_{in+}}{Z}R_{b2}=\frac{sC_cR_{b2}}{sC_cR_{b2}+1}V_{in+}$$ つまり $$G_{in+}=\frac{V_B}{V_{in+}}\simeq \frac{sC_cR_{b2}}{sC_cR_{b2}+1}$$ ここで$\omega=C_CR_{b2}$とすると
$$G_{in+(\omega=T)}\simeq \frac{j}{j+1}=\frac{1+j}{2}\to |G_{in+(\omega=T)}|=\frac{\sqrt{2}}{2}$$
$$G_{in+(\omega=T)}=\frac{j}{j+1}=\frac{1+j}{2}\to |G_{in+(\omega=T)}|=\frac{\sqrt{2}}{2}$$
また、$\omega=C_CR_{b2}$よりこのポール周波数を$f_p$とすると $$2\pi f_p=C_CR_{b2}\to f_p=\frac{1}{2\pi C_cR_{b2}}$$ ++この$f_p$が低いほど低域が出やすくなります。電解コンデンサなどを用いて$C_c$を大きくして$f_p$をなるべく下げましょう。++
ボード線図のイメージを描くと 
このフィルタのボード線図を描くと 
また$R_{b2}$のときの直流オフセット電圧$V_{offset}$は $${V_{offset}=\frac{R_2I_t}{h_{fe(Q_1)}}}$$ ++あまり$R_2$を大きくしすぎると直流オフセット電圧が大きくなりすぎるので、数$\text{mV}$ 台までにしてオフセット電圧調整ができればそこで打ち消しましょう。++ これらをまとめると - ゲインが一定になるポール周波数$f_p$は $$f_p=\frac{1}{2\pi C_cR_{b2}}$$ - $R_{b2}$のときの直流オフセット電圧$V_{offset}$は $${V_{offset}=\frac{R_2I_t}{h_{fe(Q_1)}}}$$