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rily 2026年02月22日作成 (2026年02月23日更新)
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電気回路で使われる三角関数の微積分とリアクタンスのちょっとしたお話

電気回路で使われる三角関数の微積分とリアクタンスのちょっとしたお話

電気回路ですが、交流のように単位時間で変動する信号をコンデンサやコイルに流すと計算がどんどん難しくなっていきます。そこで正弦波交流信号に限って、計算を楽にできる方法を説明します。
ここの2章目で三角関数と微積分のお話をチラッと話しましたが、もう一度再掲しておこうかと思います。

三角関数の微積分と複素数

三角関数sin(t)は微分することで

ddt(sin(t))=(ddtt)×cos(t)=cos(t){\frac{d}{dt}(sin(t))=(\frac{d}{dt}t)\times cos(t)=cos(t)}

になるのはご存知だと思います。またcos(t)を微分すると-sin(t)になっていきます。
"→"を微分、"←"を積分とすると

sin(t)dtddtcos(t)sin(t)cos(t)sin(t){sin(t)^{{\to}^{\frac{d}{dt}}}_{{\gets}_{\int dt}}cos(t)^{\to}_{\gets}-sin(t)^{\to}_{\gets}-cos(t)^{\to}_{\gets}sin(t)}

の関係で一周することができますね。ついでにsin(θ)とcos(θ)では位相がπ/2(90度)ずつずれているのがお分かりいただけると思います。
直交サインカーブ
そして複素平面の実軸Reと虚軸Imはそれぞれπ/2で直交しているのがお分かりいただけるかと思います。
複素平面
つまりsin(t)を別の空間で1としてcos(t)を同じく虚数jとします。1にjを掛けたらsin(t)からcos(t)になった、つまりsin(t)を微分したのと同じことになりますね。
この関係性より

1×j×jj1j1{1^{{\to}^{\times j}}_{{\gets}_{\times -j}}j^{\to}_{\gets}-1^{\to}_{\gets}-j^{\to}_{\gets}1}

sin(t)dtddtcos(t)sin(t)cos(t)sin(t){sin(t)^{{\to}^{\frac{d}{dt}}}_{{\gets}_{\int dt}}cos(t)^{\to}_{\gets}-sin(t)^{\to}_{\gets}-cos(t)^{\to}_{\gets}sin(t)}

ってすごく似てるじゃないですか。つまり複素数の商積で微積分が成り立つわけです。また複素数表現なので位相の表現もできるわけです、すごいですよね。
んでこれを弄って電気系でよく使う、sin(ωt)に合わせて作られた微分演算子sことjωが用いられます。積分はこれを逆数にして-j/ωになります。

ddtsin(ωt)=(ddt(ωt))×cos(ωt)=ωcos(ωt){\frac{d}{dt}sin(\omega t)=(\frac{d}{dt}(\omega t))\times cos(\omega t)=\omega cos(\omega t)}

これを複素平面ですると

1×jω=jω{1\times j\omega =j\omega}

jをcos(t)とするとωcos(t)になりますね。また虚数jのみがつくと言うことで位相θはπ/2ずれます。あと今回は初期値ガン無視なので定常時の応答のみ解けます。
これに近いものがラプラス変換になります。ここからはこれらの知識が必要になります。

コイルが交流信号へ及ぼす現象(誘導性リアクタンス)

ファラデーの電磁誘導の法則として

v(t)=Ndϕ(t)dt{v(t)=N\frac{d\phi(t)}{dt}}

という公式があります。これはコイルを通る磁束Φ(t)の変化が巻数N倍されて、コイルに起電力v(t)として現れるわけですね。

ϕ(t)=Li(t)N{\phi(t)=\frac{Li(t)}{N}}

という磁束Φ(t)と電流i(t)の関係式から、

v(t)=Ldi(t)dt{v(t)=L\frac{di(t)}{dt}}

というコイルに流れる電流i(t)とそのとき発生する起電力v(t)の関係式ができました。
さてi(t)がIsin(ωt)であるときを考えましょう。

v(t)=Ld(Isin(ωt))dt=IωLcos(ωt){v(t)=L\frac{d(Isin(\omega t))}{dt}=I\omega Lcos(\omega t)}

と、三角関数の微積法則を知っていれば一瞬でできましたね。
でもこれ、三角関数の微積分公式を覚える必要や式が複雑化してくると一々微積分するのも大変です。
またコンセントの交流100[V]のことを100sin(ωt)[V]なんて言い方あんまりしないですよね。交流で三角関数を使わず、オームの法則のような計算方法を考えてみます。
そこで前述の複素平面での考えを用いて

ddtjω=s{\frac{d}{dt}\to j\omega=s}

としてやります。そうすれば

LddtjωL=jXL{L\frac{d}{dt}\to j\omega L=jX_L}

XL=ωL{X_L=\omega L}

このXLを誘導性リアクタンスと言います。
また複素平面でIsin(ωt)は、sinを実軸としてベクトルの大きさを取り

Isin(ωt)I=I{Isin(\omega t)\to |I|=I}

としましょう。
そして、先程のi(t)=Isin(ωt)を入れたときの起電力式は

Ldi(t)dt=Ld(Isin(ωt))dtjXL×I=jωLI{L\frac{di(t)}{dt}=L\frac{d(Isin(\omega t))}{dt}\to jX_L\times I=j\omega LI}

と、三角関数を一切使わない方法に変換できました。また複素表記で位相の表現ができるようになりましたね。
交流電流I[A],周波数f[Hz],インダクタンスL[H]で、コイルに発生する交流電圧はV[V]とすると

V=jXLI=jωLI=j2πfLI{V=jX_LI=j\omega LI=j2\pi fLI}

V=RIのようなオームの法則に近い式になりました。この式を覚えておきましょう。

では、こちらの回路を解いてみますね。交流1[A]、周波数60[Hz]を流したときコイルL1の両端に現れる、定常時の交流電圧VLはいくらになるか??また電流に対する電圧の位相のずれφを答えよ。
例題回路

VL=j2πfLI=j2π×60×1×103×1=j377[mV]{V_L=j2\pi fLI=j2\pi\times60\times1\times 10^{-3}\times1=j377[mV]}

VL=377[mV]{|V_L|=377[mV]}

ϕ=limIs0(tan1(0.377Is))=π290[]{\phi=\lim_{I_s \to0}(tan^{-1}(\frac{0.377}{I_s}))=\frac{\pi}{2} \to 90[^\circ]}

なので
VL=377[mV]もしくはj377[mV]、φ=90[°]もしくはπ\2[rad]となりますね。
シミュレーション結果
計算結果とほぼ合ってるじゃないでしょうか。

コンデンサが交流信号へ及ぼす現象(容量性リアクタンス)

電荷q(t)と電流i(t)の関係式について

i(t)=dq(t)dt{i(t)=\frac{dq(t)}{dt}}

という公式があります。これは導電体の電荷q(t)の変化が、導電体に流れる電流i(t)として現れるわけですね。

q(t)=Cv(t){q(t)=Cv(t)}

という電荷q(t)と電圧v(t)の関係式から、

i(t)=Cdv(t)dt{i(t)=C\frac{dv(t)}{dt}}

というコンデンサにかかる電圧v(t)とそのとき流れる電流i(t)の関係式ができました。
さてv(t)がVsin(ωt)であるときを考えましょう。

i(t)=Cd(Vsin(ωt))dt=VωCcos(ωt){i(t)=C\frac{d(Vsin(\omega t))}{dt}=V\omega Ccos(\omega t)}

と、三角関数の微積法則を知っていれば一瞬でできましたね。
これも同じく、三角関数の微積分公式を覚える必要や式が複雑化してくると一々微積分するのも大変です。
またコンセントの交流100[V]のことを100sin(ωt)[V]なんて言い方あんまりしないですよね。交流で三角関数を使わず、オームの法則のような計算方法を考えてみます。
そこで前述の複素平面での考えを用いて

ddtjω=s{\frac{d}{dt}\to j\omega=s}

としてやります。そうすれば

CddtjωC=j1XCj1ωC=jXC{C\frac{d}{dt}\to j\omega C=j\frac{1}{X_C}\to -j\frac{1}{\omega C}=-jX_C}

XC=1ωC{X_C=\frac{1}{\omega C}}

このXCを容量性リアクタンスと言います。また虚数が負になりましたね。ですので位相の回転が誘導性リアクタンスと逆方向になります。
また複素平面でVsin(ωt)は、sinを実軸としてベクトルの大きさを取り

Vsin(ωt)V=V{Vsin(\omega t)\to |V|=V}

としましょう。
そして、先程のv(t)=Vsin(ωt)を入れたときの起電力式は

Cdv(t)dt=Cd(Vsin(ωt))dtj1XC×V=jωCV{C\frac{dv(t)}{dt}=C\frac{d(Vsin(\omega t))}{dt}\to j\frac{1}{X_C}\times V=j\omega CV}

と、三角関数を一切使わない方法に変換できました。また複素表記で位相の表現ができるようになりましたね。
交流電圧V[V],周波数f[Hz],静電容量C[F]で、コンデンサに流れる交流電流はI[A]とすると

I=jVXC=jωCV=j2πfCV{I=j\frac{V}{X_C}=j\omega CV=j2\pi fCV}

V=I/Gのようなコンダクタンスと電圧の関係に近い式になりました。この式を覚えておきましょう。
余談ですがリアクタンスの逆数をサセプタンスと言います。

では、こちらの回路を解いてみますね。交流1[V]、周波数60[Hz]をかけたときコンデンサC1に流れる定常時の交流電流ICはいくらになるか??また電圧に対する電流の位相のずれφを答えよ。
例題回路

IC=j2πfCV=j2π×60×1×106×1=j377[μA]{I_C=j2\pi fCV=j2\pi\times60\times1\times10^{-6}\times1=j377[\mu A]}

IC=377[μA]{|I_C|=377[\mu A]}

ϕ=limIs0(tan1(377Is))=π290[]{\phi=\lim_{I_s \to0}(tan^{-1}(\frac{377}{I_s}))=\frac{\pi}{2} \to 90[^\circ]}

なので
IC=377[μA]もしくはj377[μA]、φ=90[°]もしくはπ\2[rad]となりますね。
シミュレーション結果
計算結果とほぼ合ってるじゃないでしょうか。

RLC回路の正弦波応答

この回路について解いてみましょうか。R1=1[kΩ],L1=1[mH],C1=1[μF]の回路に交流電圧1[V]、周波数60[Hz]を印加したときの定常時交流電流Iを答えよ、また電圧に対する電流の位相のずれφも答えよ。
例題回路

v(t)=Ldi(t)dt+1Ci(t)dt+Ri(t){v(t)=L\frac{di(t)}{dt}+\frac{1}{C}\int i(t)dt+Ri(t)}

この微分方程式を地道に解いていくわけですが、大変!!
ですが正弦波回路なのでチートが使えます。
まず合成インピーダンスZは

Z=R+jXLjXC=R+j(2πfL12πfC)=1000+j(2π×60×1×10312π×60×1×106)=1000j2650[Ω]{Z=R+jX_L-jX_C=R+j(2\pi fL-\frac{1}{2\pi fC})=1000+j(2\pi\times60\times1\times10^{-3}-\frac{1}{2\pi\times60\times1\times10^{-6}})=1000-j2650[\Omega]}

I=VZ=11000j2650=125+j330[μA]{I=\frac{V}{Z}=\frac{1}{1000-j2650}=125+j330[\mu A]}

I=1252+3302=353[μA]{|I|=\sqrt{125^2+330^2}=353[\mu A]}

ϕ=tan1(330125)=1.21[rad]69.3[]{\phi=tan^{-1}(\frac{330}{125})=1.21[rad]\to 69.3[^\circ]}

I=353[μA]もしくは125+j330[μA]、φ=69.3[°]もしくは1.21[rad]となりました。
シミュレーション結果
いい感じに合ってるじゃないですか。

矩形波応答をリアクタンスの式で無理やり解いてみる

※正直この手法は地獄です。
60Hz矩形波
60[Hz]、正負に1[V]振幅しデューティ比も50[%]の対称矩形波について解きます。
まず、このような矩形波のフーリエ級数をざっと計算すると

v(t)=4πn=1,3,5...1nsin(nωt)=4πn=1,3,5...1nsin(n×2π×60t)=4πn=1,3,5...1nsin(n×120πt){v(t)=\frac{4}{\pi}\sum_{n=1,3,5...}^{\infty}\frac{1}{n}sin(n\omega t)=\frac{4}{\pi}\sum_{n=1,3,5...}^{\infty}\frac{1}{n}sin(n\times2\pi\times60t)=\frac{4}{\pi}\sum_{n=1,3,5...}^{\infty}\frac{1}{n}sin(n\times120\pi t)}

となりますね。

では、正負に1[V],60[Hz]の対称矩形波を1[mH]のコイルに印加したときのコイルに流れる定常時の電流i(t)を、フーリエ級数とリアクタンスを用いて計算せよ。
キャプションを入力できます
コイルのリアクタンスは

jXL=jωL{jX_L=j\omega L}

そして、Iは

I=jVXL{I=-j\frac{V}{X_L}}

です。しかし先程のフーリエ級数v(t)は

v(t)=4πn=1,3,5...1nsin(nωt)=4πn=1,3,5...1nsin(n×2π×60t){v(t)=\frac{4}{\pi}\sum_{n=1,3,5...}^{\infty}\frac{1}{n}sin(n\omega t)=\frac{4}{\pi}\sum_{n=1,3,5...}^{\infty}\frac{1}{n}sin(n\times2\pi\times60 t)}

n=(1,3,5...)とわかる通り60[Hz]の奇数倍の周波数を含み、級数となっています。なのでその周波数ごとのリアクタンスを求めて、それに対応する周波数ごとの電圧に割って計算します。
つまり周波数ごとのリアクタンスは

XLf=jLn=1,3,5...2πn×f=2πLfn=1,3,5...jn{X_{Lf}=jL\sum_{n=1,3,5...}^{\infty}2\pi n\times f=2\pi Lf\sum_{n=1,3,5...}^{\infty}jn}

そして周波数ごとの電圧は、sin(nωt)を消して

Vf=4πn=1,3,5...1n{V_f=\frac{4}{\pi}\sum_{n=1,3,5...}^{\infty}\frac{1}{n}}

そしてこれを同じnの項同士で割れるようにガッチャンコします。

I=jVfXLf=2π2Lf1,3,5...j1n2{I=-j\frac{V_f}{X_{Lf}}=-\frac{2}{\pi^2Lf}\sum_{1,3,5...}^{\infty}j\frac{1}{n^2}}

なんとか式が求まりましたね。さらに虚数jをcos(nωt)に戻すと

i(t)=2π2Lfn=1,3,5...1n2cos(2πnft){i(t)=-\frac{2}{\pi^2Lf}\sum_{n=1,3,5...}^{\infty}\frac{1}{n^2}cos(2\pi nft)}

ではn=7まで近似して解きます。

i(t)=2π2Lfn=1,3,5...71n2cos(2πnft)=2π2×1×103×60n=1,3,571n2cos(2π×60×nt)=3.38{cos(120πt)+19cos(360πt)+125cos(600πt)+149cos(840πt)}{i(t)=-\frac{2}{\pi^2Lf}\sum_{n=1,3,5...}^{7}\frac{1}{n^2}cos(2\pi nft)=-\frac{2}{\pi^2\times1\times 10^{-3}\times 60}\sum_{n=1,3,5}^{7}\frac{1}{n^2}cos(2\pi \times 60\times nt)=-3.38\{cos(120\pi t)+\frac{1}{9}cos(360\pi t)+\frac{1}{25}cos(600\pi t)+\frac{1}{49}cos(840\pi t)\}}

つまり答えは

i(t)=3.38{cos(120πt)+19cos(360πt)+125cos(600πt)+149cos(840πt)}[A]{i(t)=-3.38\{cos(120\pi t)+\frac{1}{9}cos(360\pi t)+\frac{1}{25}cos(600\pi t)+\frac{1}{49}cos(840\pi t)\cdot\cdot\cdot\}[A]}

n=7まで近似したグラフをwolframで出力してみると
キャプションを入力できます
ちなみに回路のシミュレーション波形は
シミュレーション波形
いい感じですねぇ。。。

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直感でアナログ回路を主体に設計してま〜す。 作った回路,プログラム等が正しく動く補償はできないのでご注意を
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