電気回路ですが、交流のように単位時間で変動する信号をコンデンサやコイルに流すと計算がどんどん難しくなっていきます。そこで正弦波交流信号に限って、計算を楽にできる方法を説明します。
ここの2章目で三角関数と微積分のお話をチラッと話しましたが、もう一度再掲しておこうかと思います。
三角関数sin(t)は微分することで
dtd(sin(t))=(dtdt)×cos(t)=cos(t)
になるのはご存知だと思います。またcos(t)を微分すると-sin(t)になっていきます。
"→"を微分、"←"を積分とすると
sin(t)←∫dt→dtdcos(t)←→−sin(t)←→−cos(t)←→sin(t)
の関係で一周することができますね。ついでにsin(θ)とcos(θ)では位相がπ/2(90度)ずつずれているのがお分かりいただけると思います。

そして複素平面の実軸Reと虚軸Imはそれぞれπ/2で直交しているのがお分かりいただけるかと思います。

つまりsin(t)を別の空間で1としてcos(t)を同じく虚数jとします。1にjを掛けたらsin(t)からcos(t)になった、つまりsin(t)を微分したのと同じことになりますね。
この関係性より
1←×−j→×jj←→−1←→−j←→1
と
sin(t)←∫dt→dtdcos(t)←→−sin(t)←→−cos(t)←→sin(t)
ってすごく似てるじゃないですか。つまり複素数の商積で微積分が成り立つわけです。また複素数表現なので位相の表現もできるわけです、すごいですよね。
んでこれを弄って電気系でよく使う、sin(ωt)に合わせて作られた微分演算子sことjωが用いられます。積分はこれを逆数にして-j/ωになります。
dtdsin(ωt)=(dtd(ωt))×cos(ωt)=ωcos(ωt)
これを複素平面ですると
1×jω=jω
jをcos(t)とするとωcos(t)になりますね。また虚数jのみがつくと言うことで位相θはπ/2ずれます。あと今回は初期値ガン無視なので定常時の応答のみ解けます。
これに近いものがラプラス変換になります。ここからはこれらの知識が必要になります。
ファラデーの電磁誘導の法則として
v(t)=Ndtdϕ(t)
という公式があります。これはコイルを通る磁束Φ(t)の変化が巻数N倍されて、コイルに起電力v(t)として現れるわけですね。
ϕ(t)=NLi(t)
という磁束Φ(t)と電流i(t)の関係式から、
v(t)=Ldtdi(t)
というコイルに流れる電流i(t)とそのとき発生する起電力v(t)の関係式ができました。
さてi(t)がIsin(ωt)であるときを考えましょう。
v(t)=Ldtd(Isin(ωt))=IωLcos(ωt)
と、三角関数の微積法則を知っていれば一瞬でできましたね。
でもこれ、三角関数の微積分公式を覚える必要や式が複雑化してくると一々微積分するのも大変です。
またコンセントの交流100[V]のことを100sin(ωt)[V]なんて言い方あんまりしないですよね。交流で三角関数を使わず、オームの法則のような計算方法を考えてみます。
そこで前述の複素平面での考えを用いて
dtd→jω=s
としてやります。そうすれば
Ldtd→jωL=jXL
XL=ωL
このXLを誘導性リアクタンスと言います。
また複素平面でIsin(ωt)は、sinを実軸としてベクトルの大きさを取り
Isin(ωt)→∣I∣=I
としましょう。
そして、先程のi(t)=Isin(ωt)を入れたときの起電力式は
Ldtdi(t)=Ldtd(Isin(ωt))→jXL×I=jωLI
と、三角関数を一切使わない方法に変換できました。また複素表記で位相の表現ができるようになりましたね。
交流電流I[A],周波数f[Hz],インダクタンスL[H]で、コイルに発生する交流電圧はV[V]とすると
V=jXLI=jωLI=j2πfLI
V=RIのようなオームの法則に近い式になりました。この式を覚えておきましょう。
では、こちらの回路を解いてみますね。交流1[A]、周波数60[Hz]を流したときコイルL1の両端に現れる、定常時の交流電圧VLはいくらになるか??また電流に対する電圧の位相のずれφを答えよ。

VL=j2πfLI=j2π×60×1×10−3×1=j377[mV]
∣VL∣=377[mV]
ϕ=Is→0lim(tan−1(Is0.377))=2π→90[∘]
なので
VL=377[mV]もしくはj377[mV]、φ=90[°]もしくはπ\2[rad]となりますね。

計算結果とほぼ合ってるじゃないでしょうか。
電荷q(t)と電流i(t)の関係式について
i(t)=dtdq(t)
という公式があります。これは導電体の電荷q(t)の変化が、導電体に流れる電流i(t)として現れるわけですね。
q(t)=Cv(t)
という電荷q(t)と電圧v(t)の関係式から、
i(t)=Cdtdv(t)
というコンデンサにかかる電圧v(t)とそのとき流れる電流i(t)の関係式ができました。
さてv(t)がVsin(ωt)であるときを考えましょう。
i(t)=Cdtd(Vsin(ωt))=VωCcos(ωt)
と、三角関数の微積法則を知っていれば一瞬でできましたね。
これも同じく、三角関数の微積分公式を覚える必要や式が複雑化してくると一々微積分するのも大変です。
またコンセントの交流100[V]のことを100sin(ωt)[V]なんて言い方あんまりしないですよね。交流で三角関数を使わず、オームの法則のような計算方法を考えてみます。
そこで前述の複素平面での考えを用いて
dtd→jω=s
としてやります。そうすれば
Cdtd→jωC=jXC1→−jωC1=−jXC
XC=ωC1
このXCを容量性リアクタンスと言います。また虚数が負になりましたね。ですので位相の回転が誘導性リアクタンスと逆方向になります。
また複素平面でVsin(ωt)は、sinを実軸としてベクトルの大きさを取り
Vsin(ωt)→∣V∣=V
としましょう。
そして、先程のv(t)=Vsin(ωt)を入れたときの起電力式は
Cdtdv(t)=Cdtd(Vsin(ωt))→jXC1×V=jωCV
と、三角関数を一切使わない方法に変換できました。また複素表記で位相の表現ができるようになりましたね。
交流電圧V[V],周波数f[Hz],静電容量C[F]で、コンデンサに流れる交流電流はI[A]とすると
I=jXCV=jωCV=j2πfCV
V=I/Gのようなコンダクタンスと電圧の関係に近い式になりました。この式を覚えておきましょう。
余談ですがリアクタンスの逆数をサセプタンスと言います。
では、こちらの回路を解いてみますね。交流1[V]、周波数60[Hz]をかけたときコンデンサC1に流れる定常時の交流電流ICはいくらになるか??また電圧に対する電流の位相のずれφを答えよ。

IC=j2πfCV=j2π×60×1×10−6×1=j377[μA]
∣IC∣=377[μA]
ϕ=Is→0lim(tan−1(Is377))=2π→90[∘]
なので
IC=377[μA]もしくはj377[μA]、φ=90[°]もしくはπ\2[rad]となりますね。

計算結果とほぼ合ってるじゃないでしょうか。
この回路について解いてみましょうか。R1=1[kΩ],L1=1[mH],C1=1[μF]の回路に交流電圧1[V]、周波数60[Hz]を印加したときの定常時交流電流Iを答えよ、また電圧に対する電流の位相のずれφも答えよ。

v(t)=Ldtdi(t)+C1∫i(t)dt+Ri(t)
この微分方程式を地道に解いていくわけですが、大変!!
ですが正弦波回路なのでチートが使えます。
まず合成インピーダンスZは
Z=R+jXL−jXC=R+j(2πfL−2πfC1)=1000+j(2π×60×1×10−3−2π×60×1×10−61)=1000−j2650[Ω]
I=ZV=1000−j26501=125+j330[μA]
∣I∣=√1252+3302=353[μA]
ϕ=tan−1(125330)=1.21[rad]→69.3[∘]
I=353[μA]もしくは125+j330[μA]、φ=69.3[°]もしくは1.21[rad]となりました。

いい感じに合ってるじゃないですか。
※正直この手法は地獄です。

60[Hz]、正負に1[V]振幅しデューティ比も50[%]の対称矩形波について解きます。
まず、このような矩形波のフーリエ級数をざっと計算すると
v(t)=π4n=1,3,5...∑∞n1sin(nωt)=π4n=1,3,5...∑∞n1sin(n×2π×60t)=π4n=1,3,5...∑∞n1sin(n×120πt)
となりますね。
では、正負に1[V],60[Hz]の対称矩形波を1[mH]のコイルに印加したときのコイルに流れる定常時の電流i(t)を、フーリエ級数とリアクタンスを用いて計算せよ。

コイルのリアクタンスは
jXL=jωL
そして、Iは
I=−jXLV
です。しかし先程のフーリエ級数v(t)は
v(t)=π4n=1,3,5...∑∞n1sin(nωt)=π4n=1,3,5...∑∞n1sin(n×2π×60t)
n=(1,3,5...)とわかる通り60[Hz]の奇数倍の周波数を含み、級数となっています。なのでその周波数ごとのリアクタンスを求めて、それに対応する周波数ごとの電圧に割って計算します。
つまり周波数ごとのリアクタンスは
XLf=jLn=1,3,5...∑∞2πn×f=2πLfn=1,3,5...∑∞jn
そして周波数ごとの電圧は、sin(nωt)を消して
Vf=π4n=1,3,5...∑∞n1
そしてこれを同じnの項同士で割れるようにガッチャンコします。
I=−jXLfVf=−π2Lf21,3,5...∑∞jn21
なんとか式が求まりましたね。さらに虚数jをcos(nωt)に戻すと
i(t)=−π2Lf2n=1,3,5...∑∞n21cos(2πnft)
ではn=7まで近似して解きます。
i(t)=−π2Lf2n=1,3,5...∑7n21cos(2πnft)=−π2×1×10−3×602n=1,3,5∑7n21cos(2π×60×nt)=−3.38{cos(120πt)+91cos(360πt)+251cos(600πt)+491cos(840πt)}
つまり答えは
i(t)=−3.38{cos(120πt)+91cos(360πt)+251cos(600πt)+491cos(840πt)⋅⋅⋅}[A]
n=7まで近似したグラフをwolframで出力してみると

ちなみに回路のシミュレーション波形は

いい感じですねぇ。。。
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rily
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