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rily 2025年12月12日作成 (2026年02月08日更新)
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フライバックコンバータ用トランスの設計計算式

フォワードコンバータは制作したことがあるものの、フライバックコンバータは特にトランスの設計がかなり面倒で磁気飽和を避けなければいけないので...私なりに数式を作ってみました。一応この記事で大体動作しました!

電圧比

電流連続モード

V2V1=N2N1×D1D=Av{\frac{V_2}{V_1}=\frac{N_2}{N_1}{\times}\frac{D}{1-D}=A_v}

これを変形してデューティ比Dは

D=AvN2N1+Av{D=\frac{A_v}{\frac{N_2}{N_1}+A_v}}

一般的によく用いられるのは電流連続モードの式になります。
また、設計するときもこちらの式を優先に考え始めると良いと思います。

電流不連続モード

電流不連続モード波形イメージ
⊿IL2は

ΔIL2=V2L2t{\Delta I_{L2}=\frac{V_2}{L_2}t'}

この電流の平均が負荷電流I2outになると考えればいいので、

I2out=V22L2t2t{I_{2_{out}}=\frac{\frac{V_2}{2L_2}{t'}^2}{t}}

次に、一次側最大電流I1peakと二次側最大電流I2peakは

I1peak=V1tonL1=V1tonALN12{I_{1_{peak}}=\frac{V_1t_{on}}{L_1}=\frac{V_1t_{on}}{A_L{N_1}^2}}

I2peak=V1tL2=V2tALN22{I_{2_{peak}}=\frac{V_1t'}{L_2}=\frac{V_2t'}{A_L{N_2}^2}}

そして

N1N2I1peakI2peak=0{\frac{N_1}{N_2}I_{1_{peak}}-I_{2_{peak}}=0}

より

N1N2I1peak=I2peak{\frac{N_1}{N_2}I_{1_{peak}}=I_{2_{peak}}}

という法則が成り立ちます。つまり

V1tonALN1N2=V2tALN22{\frac{V_1t_{on}}{A_LN_1N_2}=\frac{V_2t'}{A_L{N_2}^2}}

より

V1tonN1=V2tN2{\frac{V_1t_{on}}{N_1}=\frac{V_2t'}{N_2}}

t'の式へ変形すると

t=V1V2N2N1ton{t'=\frac{V_1}{V_2}\frac{N_2}{N_1}t_{on}}

ここでt'を先程のI2outの式へ代入してやると

I2out=V22ALN22(V1N2V2N1)2ton2t=V122ALN12V2ton2t=V122foscALN12V2Dd2{I_{2_{out}}=\frac{V_2}{2A_L{N_2}^2}(\frac{V_1N_2}{V_2N_1})^2\frac{{t_{on}}^2}{t}=\frac{{V_1}^2}{2A_L{N_1}^2V_2}\frac{{t_{on}}^2}{t}=\frac{{V_1}^2}{2f_{osc}A_L{N_1}^2V_2}{D_d}^2}

つまりV2は

V2=V122foscI2outALN12Dd2{V_2=\frac{{V_1}^2}{2f_{osc}I_{2_{out}}A_L{N_1}^2}{D_d}^2}

なので不連続モードのデューティ比Ddは

Dd=N1V12V2foscI2outAL=1V12V2foscL1I2out{D_d=\frac{N_1}{V_1}\sqrt{2V_2f_{osc}I_{2_{out}}A_L}=\frac{1}{V_1}\sqrt{2V_2f_{osc}L_1I_{2_{out}}}}

ピーク磁束密度

電流連続モード

電流連続モード波形イメージ
二次巻線には一次関数状の電流⊿IL2が流れます。つまり⊿IL2の一周期分総和は

V22L2toff×toff{\frac{V_2}{2L_2}t_{off}\times t_{off}}

さらに直流電流Iz2が重畳されて流れるので、電流総和は

toff(V22L2toff+Iz2){t_{off}(\frac{V_2}{2L_2}t_{off}+I_{z_2})}

負荷電流I2outはこの電流の平均電流ですので

I2out=toff(V22L2toff+Iz2)t=(1D)(V22L2t(1D)+Iz2){I_{2_{out}}=\frac{t_{off}(\frac{V_2}{2L_2}t_{off}+I_{z_2})}{t}=(1-D)(\frac{V_2}{2L_2}t(1-D)+I_{z_2})}

この式よりIz2は

Iz2=I2out1Dt(1D)V22L2{I_{z_2}=\frac{I_{2_{out}}}{1-D}-t(1-D)\frac{V_2}{2L_2}}

このときIz2が0以上になれば電流連続モード、負値になれば電流不連続モードになります。
そしてモードその境界となる出力電流は

I2mode=V22L2t(1D)2{I_{2_{mode}}=\frac{V_2}{2L_2}t(1-D)^2}

つまり、出力電流I2outが境界電流I2mode未満となると電流不連続モードになります。
以降は連続モードが成り立つときを説明します。

そして二次巻線ピーク電流は

I2peak=V2L2toff+Iz2=I2out1D+t(1D)V22L2{I_{2_{peak}}=\frac{V_2}{L_2}t_{off}+I_{z_2}=\frac{I_{2_{out}}}{1-D}+t(1-D)\frac{V_2}{2L_2}}

つまり二次巻線以降のn次巻線のInpeakは

Inpeak=Inout1D+t(1D)Vn2Ln{I_{n_{peak}}=\frac{I_{n_{out}}}{1-D}+t(1-D)\frac{V_n}{2L_n}}

ここで、二次巻線以降の起電力Vnは

Vn=V1×NnN1D1D{V_n=V_1{\times}\frac{N_n}{N_1}\frac{D}{1-D}}

よりInpeakは

Inpeak=Inout1D+tDV12ALN1Nn{I_{n_{peak}}=\frac{I_{n_{out}}}{1-D}+tD\frac{V_1}{2A_LN_1N_n}}

つまり、一次側のピーク電流は

I1peak=N=2nNnN1(Inout1D+tDV12ALN1Nn){I_{1_{peak}}=\sum_{N=2}^n\frac{N_n}{N_1}(\frac{I_{n_{out}}}{1-D}+tD\frac{V_1}{2A_LN_1N_n})}

ピーク磁束は

ϕpeak=L1I1peakN1=ALN1I1peak=N=2nNnALInout1D+tDV12N1=(n1)tDV12N1+AL1DN=2nNnInout{\phi_{peak}=\frac{L_1I_{1{peak}}}{N_1}=A_LN_1I_{1_{peak}}=\sum_{N=2}^{n}\frac{N_nA_LI_{n_{out}}}{1-D}+\frac{tDV_1}{2N_1}=(n-1)\frac{tDV_1}{2N_1}+\frac{A_L}{1-D}\sum_{N=2}^nN_nI_{n_{out}}}

つまり巻線がn個巻かれたトランスのピーク磁束密度は

Bpeak=ϕpeakAe=(n1)tDV12N1+AL1DN=2nNnInoutAe{B_{peak}=\frac{\phi_{peak}}{A_e}=\frac{(n-1)\frac{tDV_1}{2N_1}+\frac{A_L}{1-D}\sum_{N=2}^nN_nI_{n_{out}}}{A_e}}

と導出できました。さらに三次巻線を巻く場合は

Bpeak=ϕpeakAe=tDV1N1+AL1D(N2I2out+N3I3out)Ae{B_{peak}=\frac{\phi_{peak}}{A_e}=\frac{\frac{tDV_1}{N_1}+\frac{A_L}{1-D}(N_2I_{2_{out}}+N_3I_{3_{out}})}{A_e}}

となります。めちゃくちゃ複雑な式になってゴメンね。。。
コアの飽和磁束密度をBmaxとすると必ず

BmaxBpeak{B_{max}\geqq B_{peak}}

とするように設計しましょう。
ちなみにここまで出てきたAL値は、ギャップを設けるのであれば後述のALallになります。

(一次)巻線最大許容電流

巻線により作られる最大磁束は

ϕpeak=LIpeakN{\phi_{peak}=\frac{LI_{{peak}}}{N}}

より、一次巻線の最大磁束は

ϕpeak=L1I1peakN1{\phi_{peak}=\frac{L_1I_{1_{peak}}}{N_1}}

Bpeak=ALNnInpeakAe{B_{peak}=\frac{A_LN_nI_{n_{peak}}}{A_e}}

つまり一次巻線に流せる最大許容電流は

I1max=AeBmaxALN1{I_{1_{max}}=\frac{A_eB_{max}}{A_LN_1}}

またこの式より、巻線を一つしか巻かないインダクタの最大許容電流は

Imax=AeBmaxALN{I_{{max}}=\frac{A_eB_{max}}{A_LN}}

先程の磁束密度において

BmaxBpeak{B_{max}\geqq B_{peak}}

の通りになっていれば

I1maxI1peak{I_{1_{max}}\geqq I_{1_{peak}}}

が成り立ちます。

ギャップ長

エアギャップ断面積をおおよそコア断面積Aeと見ると、コアに設けられたギャップによってできる磁気抵抗Rgは

Rglgμ0Ae{R_g\simeq\frac{l_g}{\mu_0A_e}}

磁気抵抗RはAL値の逆数であり、トランスコアにできた総磁気抵抗はこのギャップ磁気抵抗Rgを足したものになります。つまり合成AL'は

AL=11AL+lgμ0Ae{{A_L}'=\frac{1}{\frac{1}{A_L}+\frac{l_g}{\mu_0A_e}}}

ここからギャップ長lgを求めると

lg=μ0Ae(1AL1AL){l_g=\mu_0A_e(\frac{1}{{A_L}'}-\frac{1}{A_L})}

トランスコアの中脚だけにギャップを設置する場合、ギャップ長はlgと同じ長さになります。一方EEやEIコアなど2つに別れたコアのEとE(I)の間に隙間を作る場合、ギャップ長はlgの約半分になると思います。

計算方法

実際に動作した例で計算しますね。電流連続モードを優先に式を解いていきます。
コアはPC40EI40を使うと仮定します。

電源仕様

一次巻線電圧(V1):AC100[V]を整流・平滑して、100(√2)[V]とします。
二次巻線電圧(V2):15[V]、整流用ダイオードの順方向電圧1.9[V]を加味して、16.9[V]とします。
補助巻線電圧(V3):同じく補助巻線側の電圧も16.9[V]とします。
最大出力電流(I2out):6[A]
最大補助出力電流(I3out):0.1[A]
スイッチング周波数:73.5[kHz]
コアにはPC40EI40を使用します。PC40材の飽和磁束密度はこちら
になります。

デューティ比

このとき一次巻線を30回巻くとして二次巻線を9回巻くとすると、デューティ比は

Av=V2V1=16.91002{A_v=\frac{V_2}{V_1}=\frac{16.9}{100\sqrt{2}}}

D=AvN2N1+Av=16.91002930+16.91002=0.285{D=\frac{A_v}{\frac{N_2}{N_1}+A_v}=\frac{\frac{16.9}{100\sqrt{2}}}{\frac{9}{30}+\frac{16.9}{100\sqrt{2}}}=0.285}

また補助巻線も二次巻線と同じ電圧なので、9回巻くとします。
デューティ比は0.5を超えないように。もし0.5を超えてしまったら巻数を変えてみてください。特に一石コンバータでは、デューティ比に比例して一次サージ電圧が増加します(一次側MOSFETドレインから見てブーストコンバータになるため)。
私は大体0.25付近になるように設計してます。

ピーク磁束密度・エアギャップ

コア特性
https://pccomponents.com/datasheets/TDK-E141.PDF

コアのAeは148[mm^2]、AL値は4860[nH/N^2]です。

コア特性2
https://product.tdk.com/ja/system/files/dam/doc/product/ferrite/ferrite/ferrite-core/catalog/ferrite_mn-zn_material_characteristics_ja.pdf

コアの温度が100℃のときの飽和磁束密度は380[mT]です。余裕をもって今回は飽和磁束密度を350[mT]としてみました。
この値より発生する磁束密度を計算します。

Bpeak=tDV1N1+AL1D(N2I2out+N3I3out)Ae=0.285×100273.5×103×30+4860×10910.285(9×6+9×0.1)148×106=2.64[T]{B_{peak}=\frac{\frac{tDV_1}{N_1}+\frac{A_L}{1-D}(N_2I_{2_{out}}+N_3I_{3_{out}})}{A_e}=\frac{\frac{0.285 \times 100\sqrt{2}}{73.5\times 10^3 \times30}+\frac{4860\times 10^{-9}}{1-0.285}(9\times 6+9\times 0.1)}{148\times 10^{-6}}=2.64[T]}

このままでは350[mT]を大きく上回って磁気飽和するので、エアギャップを設けていきます。エアギャップを1[mm]開けると仮定します。

AL=11AL+lgμ0Ae=114860×109+1×1034π×107×148×106=179[nH/N2]{{A_L}'=\frac{1}{\frac{1}{A_L}+\frac{l_g}{\mu_0A_e}}=\frac{1}{\frac{1}{4860\times 10^{-9}}+\frac{1\times 10^{-3}}{4\pi \times 10^{-7}\times 148\times 10^{-6}}}=179[nH/N^2]}

より磁束密度を再計算すると

Bpeak=tDV1N1+AL1D(N2I2out+N3I3out)Ae=0.285×100273.5×103×30+179×10910.285(9×6+9×0.1)148×106=216[mT]{B_{peak}=\frac{\frac{tDV_1}{N_1}+\frac{{A_L}'}{1-D}(N_2I_{2_{out}}+N_3I_{3_{out}})}{A_e}=\frac{\frac{0.285 \times 100\sqrt{2}}{73.5\times 10^3 \times30}+\frac{179\times 10^{-9}}{1-0.285}(9\times 6+9\times 0.1)}{148\times 10^{-6}}=216[mT]}

となり、350[mT]を下回ったので磁気飽和しなくなりましたね。これで巻線の巻数とエアギャップ長が決定しました。
また巻線のインダクタンスも求めておきましょう。

L1=AL×N12=179×109×302=161[μH]{L_1={A_L}'\times {N_1}^2=179\times 10^{-9}\times 30^2=161[\mu H]}

L2=AL×N22=179×109×92=14.5[μH]{L_2={A_L}'\times {N_2}^2=179\times 10^{-9}\times 9^2=14.5[\mu H]}

補助巻線L3はL2と巻数が同じなので14.5[μH]となります。

動作モードの境界電流

ここで電流連続モードと電流不連続モードの境界を求めておきましょう。

I2mode=V22L2t(1D)2=16.92×14.5×106×(10.285)273.5×103=4.05[A]{I_{2_{mode}}=\frac{V_2}{2L_2}t(1-D)^2=\frac{16.9}{2\times 14.5\times 10^{-6}}\times \frac{(1-0.285)^2}{73.5\times 10^3}=4.05[A]}

4.05[A]以下では電流不連続モード、以上では電流連続モードとなります。
もし境界を下げて電流連続モードの領域を広くしたいのであれば、スイッチング周波数を高くするなどしてもいいと思います。

一次巻線許容最大電流

最後に磁気飽和しないで流せる最大電流を求めていきます。

I1max=AeBmaxALN1=148×106×350×103179×109×30=9.65[A]{I_{1_{max}}=\frac{A_eB_{max}}{{A_L}'N_1}=\frac{148\times 10^{-6}\times 350\times 10^{-3}}{179\times 10^{-9}\times 30}=9.65[A]}

つまり一次巻線は9.65[A]まで流すことができます。ですので一次巻線の制限電流を9.6[A]とします。

トランス決定値

使用コア:PC40EI40
エアギャップ:1[mm] (インダクタンス測りながら開ける)
一次巻線制限電流:9.6[A]

巻線 巻数[回] インダクタンス[μH]
一次 30 161
二次 9 14.5
補助 9 14.5
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