MIDI 信号を入力したいなと思って入力回路を探していたところ 汎用 4 ピンフォトカプラを使った MIDI 入力 なるページを見つけました。MIDI の仕様書 にある通り、一般的には信号整形回路が組み込まれた高速なオプトアイソレータ(光信号を用いることで、信号を伝達しつつも電気的に分離する部品)を使うのが普通だそうですが、このページでは安価な汎用のフォトカプラを使って MIDI 入力を試みています。この記事の内容を検証してみました。
検証結果
まず元記事の(b)の回路を試しました。入力波形は約 15kHz の 3.3V 矩形波です。フォトカプラの LED 側には 430Ω の抵抗を接続し、4.9mA 程度が流れるようにして、MIDI 信号を模擬しました。使用したフォトカプラはフェアチャイルドの FOD817B です。フォトカプラのコレクタに負荷抵抗 680Ω を直接接続し、3.3V がちょうど飽和する程度に調整しました。(負荷抵抗を大きくするほど飽和度が高まり、信号が劣化するはずです。飽和し始めるギリギリの抵抗にするのが最も信号がきれいになります)
オシロスコープの表示を見ると明らかに信号が劣化していることが分かりますね。言わずとも伝わると思いますが、下側が入力信号、上側がフォトカプラの出力信号です。1目盛りは縦が2V、横が10μsですから、入力がH→Lになったとき、出力が完全にL→Hになるのに10μsほど掛かっていることが分かります。MIDIの仕様では立ち上がり・立ち下がりは2μs以内であることが求められているため、完全に失格です。立ち下がり(出力がH→Lになるとき)も同程度の遅延があればまだマシなのですが、立ち下がりはシュッとしていて、不均衡になってしまっています。
次はフォトカプラの出力電流をカレントミラー回路を使って取り出す回路を試しました。
すごい。明らかに改善しています。出力信号が立ち下がりも立ち上がりもシュッとしていて、これなら問題なく使えそうですね。ということで元記事の内容が手元で再現したことになります。めでたし、めでたし。
記事の用語
元にした記事に登場する「ミラー効果」が初耳だったので調べてみました。
ミラー効果とは、トランジスタのコレクタ-ベース間にある容量(キャパシタンス)が、回路のゲイン倍だけ大きく見える現象のことだそうです。エミッタ接地の反転増幅の場合、コレクタ電圧はベース電圧のマイナスゲイン倍になるため、コレクタ-ベース間容量が(1+ゲイン)倍だけ大きくなったように見えるというわけです。 ミラー効果とは: new_western_elec によると「ミラー」は鏡ではなく、人名だそうです。
ちなみに「カレントミラー回路」の「ミラー」は鏡という意味です。
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uchan
さんが
2021/01/29
に
編集
をしました。
(メッセージ: 初版)
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uchan
さんが
2021/01/29
に
編集
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3duilab
2021/02/02
ログインしてコメントを投稿するカレントミラー回路、30年?ぶりで忘れかけてました。こんな使い方もできるんですね