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H 2020年12月31日作成
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電源自動切換え回路

  1. はじめに
    PIC時計のPICを動作させる電源に乾電池を用いた場合、電池の電圧がPICの動作電圧以下に低下すると当然ながら時計の動作が止まってしまい、電池交換の都度、時刻合わせをするという面倒な操作が必要になります。そこで、通常は乾電池を主電源とし(回路図中「MAIN」と記載)、主電源の電圧が低下すると補助電源(同「SUB」と記載)に自動で切換える回路を作製しました。

2.克服すべき課題
電源切換え回路の課題となるのは、電源自動切換え回路自体の消費電流です。7セグメント表示の電源は分離して別の乾電池で駆動しているので、PICの電源自体は高々10mA(三端子レギュレータの消費電力を含む)しか消費しておらず、それ以上の消費電流を用いて電圧監視+電源切換えを行うのはナンセンスなことです。そこで、タイマーIC555で電圧監視+ラッチングリレー駆動を兼ねて、省電力とシンプルな回路構成を実現しました。

3.部品
・タイマーIC555…TTL版だと数mAを消費するので、C-MOS版を使用。
・ラッチングリレー…オムロン社製のG5AK-237Pを使用。5V駆動、2回路切換えです。
ラッチングリレーTOP VIEW
・トランジスタ…ラッチングリレー駆動用。汎用小信号NPNで可。2SC1815、2SC945でもOK。
・電解コンデンサー…電源切換えの際、参照電圧となる5Vを安定化させるために使用。
          3300μFと大きい容量のものを使用。容量が小さいと、主電源の
          電圧低下につれて参照電圧の5Vも低下してしまい、上手く電源
          切換えが出来ない。
・その他…半固定抵抗(切換え電圧設定用)、LED(切換え表示用)、コンデンサ、抵抗、
     スライドスイッチ、タクトスイッチなど一般的な部品を少々。

4.回路図
 回路図全体

555周辺拡大
          
ラッチングリレー周辺拡大

三端子レギュレータ周辺拡大

回路写真。3300μF電解コンデンサは筐体内。
5.動作原理
 タイマーIC555は2番ピン立下り信号(電源電圧の1/3以下)を受けて、出力の3番ピンがHighになります。3番ピンがHighになる時間は6・7番ピンに接続された抵抗、コンデンサで決定され、以下の式で表されます。

1.1CR=1.1×10×10^(-6)×10×10^3=0.11sec

タイマーICの電源電圧は三端子レギュレータ(7805)で安定化された5Vであり、この電圧は主電源の電圧が多少低下しても変化しません。一方で、2番ピンの電圧は主電源の電圧低下と比例して低下するため、主電源が一定以下の電圧になると、3番ピンにHighの信号が0.11secだけ出力されます。3番ピンはトランジスタを介してラッチングリレーのコイルを駆動し、電源は主電源から補助電源に切換えられます。この際、もうラッチングリレーのもう1回路に接続されたLEDを点灯させ、補助電源に切換わったことを知らせます。

6.使い方
主電源、補助電源を繋げば、準備完了です。PIC時計は秋月電子通商殿のキット(hour・min表示)に、後付けで秒表示(60進数カウンターで、hourとminの間にある「:」の点滅回数を読んでいるもの)を付けたものを使いました。
補助電源まで使い切ってしまい、PIC時計が止まると、5V系に繋いだ3300μFの電解コンデンサがなかなか放電せず、長時間待たないとPIC時計が再起動できません。その場合は、comAに繋がったスライドスイッチで、一旦電源からPIC時計を切り離し、回路図右端にある10kΩを介したタクトスイッチで電解コンデンサの電荷を放電することで、短時間でのPIC時計再起動を可能としました。
なお、この電源切換え回路自体の消費電流は約0.6mAと、切換えする電流10mAに対して十分小さな値でした。

7.動作の様子
以下の動画をご覧下さい。

動作の様子この動画では主電源を一旦外し、補助電源切換り後(緑LED点灯)、復帰スイッチで主電源に戻している様子を映しています。この動作の後でも、PIC時計は止まることなく時を刻み続けています。

  • H さんが 2020/12/31 に 編集 をしました。 (メッセージ: 初版)
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