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Arduino_Tian

Arduinoシリーズのマイコンボード。Arduino Yúnを基に、Wi-FiモジュールとMIPS Linuxを搭載したボード。現在は販売を終了している。

概要

Arduino TianはYúnWi-FiモジュールとMIPS Linuxを加えたIoT向けArduinoボードである。

現在は販売を終了している。

32bitマイコンとLinuxディストリビューションをサポートしているマイクロプロセッサを搭載しており、Linuxを動かせるのが特徴。

特徴

Arduino TianはATSAMD21G18とAtheros AR9342を基に作られたマイコンボードである。

LinuxポートをMCUからオンオフすることで、消費電力を削減できる。

Tianとは、中国語で「天」という意味である。

オンボード

Tianに搭載されている主なコンポーネントは以下の通りである。

  • ATSAMD21G18
  • Atheros AR9342
  • 4GB eMMC
  • デジタルIOピン:20
  • アナログ入力:6
  • PWM出力:12
  • micro USBポート
  • USBホスト
  • LANポート
  • リセットボタン
    • Wi-Fiリセット
    • MCUリセット
    • Linuxリセット
  • 2.4/5GHzアンテナ
  • ICSPヘッダ
  • Bluetooth/BLE 4.0アンテナ
  • CSR8510
  • SWD for SAMD21

オンボードLED

Tianには電源、WLAN接続、WAN接続、Bluetooth、USBなど8つのオンボードLEDがある。

  • ETH
  • MCU ON
  • LNX ON
  • L13:13ピンに接続されている
  • TX
  • RX
  • WLAN
  • USB

マイコン

TianはATSAMD21G18とAtheros AR9342を搭載している。

ATSAMD21G18

Arduino動作用として、32bit ARM Cortex M0 +コアのAtmel製マイコンを搭載している。

256KBのフラッシュメモリのうち、69KBをブートローダが使用している。ブートローダはあらかじめ書き込まれており、NVMヒューズで保護された状態で専用ROMメモリに格納されている。32KBのSRAMも搭載している。

SAMD21は3.3Vシリアル通信用のハードウェアUARTとハードウェアUSARTや、TWI・SPI通信も可能。

Atheros AR9342

AR9342はクアルコム製の高集積MIPSプロセッサである。

OpenWRT Lininoに基づくLinuxディストリビューションをサポートしており、最大533MHzで動作する。

AR9342は、SAMD21、Bluetooth、eMMC、USBハブに接続されている。全てのI/OピンがSAMD21に接続されているため、I/Oピンに直接アクセスすることは不可。

IEEE802.11n 2x2 2.4/5GHzデュアルバンドWiFiモジュールを備えている。

SAMD21G18とAR9342は相互にシリアル通信が可能である。

電源

Tianへの給電方法は、USB接続か外部電源(AC/DCアダプタ、バッテリ)接続である。

複数の電源に同時に接続した場合は、使用可能な電源を自動的に検知し、外部電源を優先的に選択する。
外部電源に必要な電流と電圧は600mAと5Vである。

USB接続

TianはUSBコネクタにmicro USB-Bを使用している。
パソコンと接続するにはUSB A-microBタイプのケーブルが別途必要である。

AC/DCアダプタ、バッテリ

AC/DCアダプタで電源を供給する場合、他のボードと異なり電源ジャックが削除されているため、2.1mmセンタープラスプラグは使えない。

そのためバッテリに接続する場合と同様に、GNDピンにマイナス側を、Vinピンにプラス側を接続する。GNDピンとVinピンを反対に接続するとボードが壊れるので注意。

電源ピン

  • Vin:外部電源を接続する際の入力用ピン。許容入力電圧は5V
  • 5V:オンボードレギュレータによって調整された5Vまたは、USBからの5V電源が供給される。最大出力電流は2A
  • 3V3:オンボードレギュレータによって調整された3.3Vを出力。最大出力電流は2A
  • GND:外部電源のマイナス極側を接続するピン
  • IOREF:IOピンと同じ電圧を出力。Tianの場合は3.3V

入出力

Tianには3.3Vで動作する20個のデジタルI/Oピンがある。入出力可能で、最大40mAを供給・受信できる。

20~50kΩの内部プルアップ抵抗を備えている。

Atheros AR9342の全てのI/OピンはSAMD21に接続されているため、直接アクセスすることはできない。

USBポートはCP2105に接続されているためUSB経由でシリアル(CDC)通信が可能。

開発環境

Arduinoの開発環境についてを参照。

SAMD21にスケッチをアップロードする時、他のAVRマイコンとは異なりフラッシュメモリを消去する必要がある。

アップロード関連はSAMD21の専用ROM領域で管理されている。

自動リセット

Tianでは仮想シリアル(COM)ポートが1200ボーで開かれて閉じられたときに自動リセットされる。

アップロード前にボード上のリセットボタンを押す必要はない。

動作用のマイコンがUSB通信機能を内蔵しているため、リセットするとパソコンとのUSB接続が切断される仕様。
これにより、シリアルターミナルを開くたびにマイコンがリセットされてしまうので注意する。

ボードを最初に起動したときはユーザースケッチがあればそれが開く設定になっている。

もちろんリセットボタンを押してリセットすることも可能である。

リセットボタン

ボード上にはリセットボタンが3つあり、それぞれ以下の場合に使用する。

  • AR9342 Reset:マイクロプロセッサの再起動およびLinux OSの再起動
  • SAMD21 Reset:インストールされているArduinoのスケッチを再起動するためにSAMD21をリセット
  • WiFi Reset:WiFiをリセットする

WiFi Resetボタンでは、WiFiをリセットする他にも以下のことができる。

  • 5秒以上30秒未満:Tianのネットワーク設定をリセット。他の変更や構成は保持されたままの状態。
  • 30秒以上:Linino OSディストリビューションをデフォルト設定に戻す。全てのファイルとネットワーク設定が削除される。

SAMD21プロセッサをリセットするたびに、USBシリアル接続が切断されて再接続される。

仕様

Arduino Tian

プロセッサ Atheros AR9342(MIPS)
動作電圧 3.3V
メモリ フラッシュメモリ: 16MB + 4GB eMMC / RAM: 64MB DDR2
通信 Wi-Fi(802.11 b/g/n 2.4GHzデュアルバンド) / 10/100/1000Mbit イーサネット
USB 2.0 ×1
マイクロコントローラ SAMD21G18(ARM Cortex-M0+)
動作電圧 3.3V
メモリ フラッシュメモリ: 256KB / 32KB SRAM
クロック速度 48MHz
アナログIOピン 6
IOピンあたりのDC電流 7mA
ボード Arduino Tian
入力電圧 5V
消費電力 470mA
PWM出力 12
Bluetooth CSR8510、Bluetooth with EDR / BLE 4.0
重量 36g

参考