Arduino_Yun
Arduinoシリーズのマイコンボード。初心者向けボードArduino Leonardoを基にLinuxを搭載しており、IoTデバイスの開発に向いている。Wi-Fiやイーサネットも搭載。
目次
概要
Arduino Yúnは、高度なネットワークとアプリを動かせるLinux搭載のIoT向けArduinoボードである。
LeonardoにLinuxを搭載したような形で、Wi-Fiやイーサネットもオンボード。
現在は旧型の販売を終了し、Rev.2として新たに販売している。
特徴
YúnはATmega32u4とAR9331を基に作られたマイコンボード。
「Yún」とは中国語で「雲」を意味する。
Rev.2の変更点
Rev.2の新機能は以下の通りである。
ハードウェア
- 電源回路の改良
- イーサネットコネクタの改良:どんなシールドを使用してもショートしにくい
- USBコネクタの配置変更:垂直型から水平型に変更
- USBハブの改良
ソフトウェア
- OpenWRTを最新バージョンに更新
- Bridge上のSSLサポート
オンボード
Yúnに搭載されている主なコンポーネントは以下の通りである。
- ATmega32U4
- Atheros AR9331
- デジタルIOピン:20
- アナログ入力:12
- PWM出力:7
- ICSPヘッダ
- micro SDカードスロット
- Wi-Fiアンテナ
- LANポート
- micro USBポート
- USBホストポート
- Yúnリセットボタン
- ATmega32U4リセットボタン
- WLANリセットボタン
オンボードインジケータ
オンボードのLEDは以下の状態を示している。
- ON:緑のLED。正しく給電されている状態
- WLAN:青のLED。ワイヤレスネットワークに接続されている状態
- WAN:赤のLED。イーサネットに接続されている状態
- USB:白のLED。システム動作または、USBキーが取り付けられている状態
マイコン
Yúnは、LeonardoなどのArduinoボードと同じATmega32U4に加えて、Linuxに対応したAtheros AR9331を搭載している。
ATmega32U4
ATmega32U4は、コードをアップロードできるブートローダを内蔵している。
AVR109プロトコルで通信する。
メモリは32KBで、そのうち4KBはブートローダが使用している。
2.5KBのSRAMと1KBのEEPROMを備えており、EEPROMはEEPROMライブラリで書き換えが可能。
UARTシリアル通信とSPI通信をサポートしており、USB経由でのシリアル(CDC)通信もできる。
Atheros AR9331
AR9331はLinux対応。AR9331とATmega32U4はBridgeライブラリを介して通信して、ArduinoのスケッチがLinuxのコマンドラインインターフェースにコマンドを送信できるようにしている。
AR9331には64MBのDDR2 RAMが搭載されており、複雑なタスクを実行するためのリソースを提供する。さらに、microSDカードやUSBペンドライブを追加することでストレージメモリの拡張も可能である。その際、ストレージデバイスのルートレベルに「arduino」という名前のディレクトリを含めるとYúnが自動認識する仕様になっている。
電源
Yúnへの給電方法は、USB接続かVinピン接続、PoEモジュールを使用したイーサネット接続がある。
USB接続
YúnのUSBコネクタはmicro USB-Bである。
パソコンと接続するにはUSB A-microBタイプのケーブルが別途必要である。
micro USBから5Vの電圧で供給される。
Vinピン接続
Vinから給電するときは、レギュレートされた5VDCを供給する必要がある。
PoEモジュールを使用したイーサネット接続
別売りのPoEモジュールをつけることで、イーサネットポートからの電源供給が可能になる。
使用する際はボード上の端子にPoEモジュールを差し込み、はんだ付けをする。
入出力
Yúnは14本のデジタルIOピン、7本のPWM出力ピン、6本のアナログ入力ピンを持つ。デジタルIOピンのうち、6本はアナログ入力が可能である。
このピン配列は、UnoやLeonardoと同じ配置である。そのためArduino用のシールドのほとんどに対応している。
オンボードのUSBホストポートはAR9331に接続されており、32U4のスケッチから直接アクセスできない。
通信
YúnはオンボードのWi-Fi通信とイーサネット通信が使える。
WEP、WPA、WPA2暗号化をサポートする10/100M ファーストイーサネットポート、IEEE 802.11 b/g/n標準準拠の2.4GHz Wi-Fiインターフェースを備えている。
また、Wi-Fiインターフェースはアクセスポイント(AP)としても動作可能。APモードのとき、Yúnをインターネットに接続することはできないが、Wi-Fi対応センサーグループのハブとして使用できる。「Yún Webパネル」と「YunFirstConfig」という専用スケッチが提供されており、Webパネルでは全てのシールド設定を管理できる。
スケッチのリモートアップロード
Yúnは、接続したパソコンと同じネットワークに接続されたボードを認識できる自動検出システムを搭載しているため、スケッチのリモートアップロードが可能。micro USBでつないでもスケッチをアップロードできる。
Linux
Linux OSは、Lininoと呼ばれるOpenWRT Linuxディストリビューションを実行する。
Linuxイメージを含むオンボードの16MBフラッシュメモリには、完全なPythonインストールと追加のソフトウェアのインストールに使用できるパッケージマネージャーがある。
開発環境
Arduinoの開発環境についてを参照。
仕様
バージョン | Arduino Yún Rev2 |
---|---|
CPU | ATmega32U4, AR9331 |
OS | Linux(LininoOS) |
メモリ | 内蔵フラッシュメモリ: 32KB(内4KBはブートローダーが使用) / 2.5KB SRAM / 1KB EEPROM |
動作電圧 | 5V |
入力電圧 | 5V |
IO | デジタル入出力 ×20 / PWM出力 ×7 / アナログ入出力 ×12 |
LED | RX, TX, ON, WLAN, WAN, USB, LED(32番ピン) |
USBポート | USB Type-A, microUSB Type-B |
ボタン | 32U4リセット, Wi-Fiリセット, Yúnリセット |
DC電流 | IOピンあたり: 40mA / 3.3Vピン: 50mA |
クロック速度 | 16MHz |
通信 | 10/100M イーサネット / Wi-Fi(802.11 b/g/n 2.4GHz) |
電源 | USB接続, PoE 802.3af接続(5V) |
サイズ | 73mm × 53mm / 重さ: 20g |