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Wi-Fi

無線LAN規格のひとつ。IoT電子工作でも利用される頻度が高い通信方法である。ただし海外製のWi-Fiモジュールなどは技適マークを取得していない場合があるので注意が必要。

概要

Wi-Fiは、ケーブルで接続することなくインターネットを利用できる無線LAN規格のひとつ。

Wi-Fiルーターから発信される電波でインターネットに接続する無線技術である。

無線LANとWi-Fiは厳密にいうとイコールではないが、ほぼ同じ意味で使われることが多い。

Wi-Fiという名称は「Hi-Fi」をもじった言葉で、特に深い意味はなく、後付けで「Wireless Fidelity(忠実な無線)」の略としている。

仕組み

Wi-Fiルーターには有線と無線があり、有線Wi-Fiルーターは、インターネット回線を電波にして飛ばしている。有線LANにつながれているため据置型。

一方の無線Wi-Fiルーター、いわゆるモバイルルーターはスマートフォン用の回線を電波にして飛ばしており、持ち運びできる。

ただし、スマホと同様に電波がないところでは使えない。

IoT向けボードと技適

IoT向けに開発されているマイコンボードでは、Wi-Fiアンテナが搭載されている製品がある。

ただし、日本でWi-Fi対応製品を使用するには技適マークの取得が必須なので注意する必要がある。

日本で製造・販売されている製品は問題ないと思ってよいが、海外から輸入した製品は技適マークを取得していない場合がある。

ボードだけでなくUSBコネクタに挿して使うWi-Fiモジュールも同様。

ちなみに技適マークを取得していないボードの場合、オンボードWi-Fiはアンテナを取り外して使えない状態にし、技適マークのついたWi-Fiモジュールを追加して使用すれば合法的に利用できる。

有線LANとWi-Fi

接続可能範囲が広いのはWi-Fiである。

有線LANの場合、接続できる範囲はケーブルが届く範囲に限られるが、Wi-Fiの場合は電波が届く範囲となる。

さらに中継器を設置することで接続可能範囲を拡張できる。

Wi-Fiによる転送速度は最大1300Mbpsで、有線LANの場合は最大10Gbps。大きなファイルを大量に転送するなら有線LANがおすすめ。

BluetoothとWi-Fi

無線通信の方法として、Wi-Fiと並ぶのがBluetoothである。

Wi-FiとBluetoothはよく比較されるが別物で、複数の機器をインターネットにつなぐのがWi-Fi、1対1で機器同士をつなぐのがBluetooth。

Bluetoothは数メートル範囲での接続が可能で、音楽の同期再生用としてよく使われる。

Bluetoothが使用する2.4GHz帯は、電子レンジなどの家電が使用する周波数帯なので電波干渉が起きやすいデメリットがある。

Wi-Fiは規格によって周波数帯が異なり、2.4GHzを使用した規格もある。5GHzや60GHzを使用した規格では電波干渉はほとんど起こらない。

転送速度も規格によって異なり、よく利用されるIEEE 802.11acだと最速6.9Gbpsである。一方Bluetoothの最高転送速度は24Mbps。

速度が早い分、Wi-Fiのほうが電力消費が激しく、Bluetoothは省エネである。テザリングする場合も同様のメリットとデメリットを持つ。

歴史

Wi-Fiは1990年代後半に登場した技術だったが、デバイス間の互換性が保証されておらず当時は普及しなかった。

1999年にWECA(Wireless Ethernet Compatibility Alliance)という団体が発足し、Wi-Fi対応デバイスを認定する業務を行い、Wi-Fiの認知度が高まったところで団体名を「Wi-Fi Alliance」に変更。現在もWi-Fi Allianceが認定業務を行っている。

Wi-Fi Allianceが行う検査に合格すれば、Wi-Fi対応製品として販売できる決まりで、Wi-Fi対応機器はWi-Fi Allianceの登録商標である「Wi-Fi」のロゴ表示が認められている。ロゴがないとWi-Fi対応製品ではない。

種類

Wi-Fiと呼ばれる規格は10種類以上あるが、主に使われるのは以下の6種類である。

2.4GHz帯は、壁や天井などの障害物に阻害されにくく、5GHz帯よりも遠くまで届くため屋外・屋内問わず使いやすい。

しかし5GHz帯と比較すると速度が遅く、電子レンジやBluetoothでも使用されている帯域のため、電波干渉を起こしやすいのが難点である。

一方の5Ghz帯は、この帯域を使用している機器が少ないため電波干渉されにくく、速度も速いのが特長である。しかし、壁や天井などの障害物に遮断されてしまうため、場所によっては使用が向いていない場合もある。古い機器だと対応していないこともある。

2.4GHz帯はIEEE 802.11b、IEEE 802.11g、IEEE 802.11nが対応しており、5GHzはIEEE 802.11ac、IEEE 802.11n、IEEE 802.11aが対応している。

IEEE 802.11b

2.4GHz帯を使用する規格で、最大リンク速度は11Mbps。

IEEE 802.11a

5GHz帯を使用する規格で、最大リンク速度は54Mbps。

IEEE 802.11g

2.4GHz帯を使用する規格で、最大リンク速度54Mbps。

IEEE 802.11n

IEEE 802.11aおよびIEEE 802.11gを高速化した規格で、最大リンク速度は600Mbps。
2.4GHz帯と5GHz帯の両方を使用しているため、用途や状況に応じて選択できる。

IEEE 802.11ac

IEEE 802.11nを高速化した規格で、5GHz帯を使用している。
最大リンク速度は6.9Gbpsと、これ以前の規格に比べて格段に速度が向上している。

IEEE 802.11ad

60GHz帯を使用する規格で、最大リンク速度は6.8Gbps。
これまでと異なる60GHz帯という点で対応デバイスが少なく、あまり普及していないのが現状である。

セキュリティ

Wi-Fiの電波は壁や障害物を越えるため、外部の人間が勝手に接続して悪用される可能性もゼロではない。安全に使うにはセキュリティ対策が重要である。

対策のひとつとして暗号化が挙げられる。暗号化されていないアクセスポイントに接続すると容易にハッキングされてしまうため、利用する際は暗号化されているWi-Fiに接続することをおすすめする。

Wi-Fiの暗号化方式は3種類ある。

  • WEP方式
  • WPA方式
  • WPA2方式

WEP方式は「Wired Equivalent Privacy」の略で、3つの中では最も古い暗号化方式。現在では簡単にハッキングできてしまうため使用しないほうが賢明である。

自宅のWi-FiルーターなどはWEP方式を無効化しておくのがよい。現在販売されている製品では、デフォルトでオフになっている製品も多い。

WPA方式は「Wi-Fi Protected Access」の略で、WEP方式に代わって使われていた暗号化方式である。しかしアクセスポイントのパスワードが推測できるようなものや使いまわしのパスワードだと破られやすいことが判明し、現在は推奨されていない。

WPA2方式は今のところ一番新しく安全な暗号化方式である。

Wi-Fiスポットの安全性

街中でWi-Fiが使える場所を「Wi-Fiスポット」と呼ぶ。なぜか人が集まっている場所はだいだいWi-Fiスポットである。

Wi-Fiスポットには、設定なしで使えるものやパスワードや認証が必要なものもある。便利だが、多くの人が利用するため危険も多い。

特に公共のWi-Fiスポットでは、暗号化されていないWi-Fiや安全性の低いWEP、WPA方式のWi-Fiを使用していることが多い。

そのようなWi-Fiスポットを利用していると、悪意ある人に傍観・盗聴される危険性がある。

そのため、特にクレジットカード情報や仕事上の機密事項など、他人に知られてはならない情報は公共のWi-Fiスポットでは扱わないほうが無難である。

公共のWi-Fiスポットを利用する際は、不審なアクセスポイントには接続しないことや、接続した際に暗号化方式を確認すること、アクセスするサイト自体がSSL化されているかなどに注意する。

参考