Tang Nano 9K に搭載されている Gowin の FPGA(GW1NR-9)について、I/O に設定可能な OPEN_DRAIN
というオプションの挙動を確認しました。結論としては、OPEN_DRAIN
の ON/OFF によらずプルアップ抵抗の有無が選択できること、0 を出力すると 0V が出力されることが分かりました。
OPEN_DRAIN
オプション
Gowin の FPGA は(他のメーカーでも同様だと思いますが)I/O をオープンドレインに設定できます。物理制約ファイルに次のように記述します。
IO_PORT "sig" IO_TYPE=LVCMOS33 PULL_MODE=NONE OPEN_DRAIN=ON;
OPEN_DRAIN
は ON か OFF を指定できます。デフォルトでは OFF でプッシュプル出力です。
OPEN_DRAIN=ON
に設定した I/O に対し 0 を書くと NMOS が導通し 0V が出力されます。1 を書くと NMOS が遮断しハイインピーダンスとなります。
PULL_MODE
との組み合わせ
PULL_MODE
は I/O のプルアップ/プルダウンを制御します。UP、DOWN、KEEPER、NONE のいずれかを指定できます。デフォルトでは UP のようです。一般的にプルアップ/プルダウンは入力ポートで使う機能ですが、GW1NR-9 では出力に設定した端子でも PULL_MODE
は有効に機能するようです。
OPEN_DRAIN=ON
かつ PULL_MODE=UP
と設定する(あるいは PULL_MODE
を設定せずデフォルトとする)と、0 を書くと 0V が、1 を書くと電源電圧(バンクにより異なる)が出力されます。
OPEN_DRAIN=ON
かつ PULL_MODE=NONE
と設定すると、0 を書くと 0V が、1 を書くとハイインピーダンスが出力されます。オープンドレイン出力と言うとき、一般的に想像するのはこちらの設定かなと思います。
1=0V じゃなくて 0=0V だ!
オープンドレイン出力は NMOS のゲートを制御するわけですから、電子回路的に考えれば 1 を書くと 0V が、0 を書くとハイインピーダンスが出力されるように思えます。しかし、実験の結果、そうではありませんでした。
FPGA の I/O の出力部分はおそらく上図のようになっていて、オープンドレイン出力のときは Q3 が無効化される仕組みなのだと思います。(Kenta IDA さんがヒントをくださいました)
プッシュプル出力のときは 0 を書いたら 0V が、1 を書いたら VDD が出力されて欲しいですから、そのために Q1 と Q2 を使って論理を反転しなければなりません。その回路の影響で、オープンドレイン出力に設定しても 0 で 0V が出力される、と考えると納得できますね。
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uchan
さんが
2024/10/01
に
編集
をしました。
(メッセージ: 初版)
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