LoRa_LoRaWAN
LPWA通信規格のひとつ。低消費電力で長距離通信ができるのが特徴。アンライセンスバンドを使用しているため、無線免許なしで利用できる。
目次
概要
LoRaとは、IoTのためのLPWA通信規格のひとつで、1GHzよりも低周波な「サブギガ帯」と呼ばれる周波数帯域を使用した通信である。読み方は「ろーら」「ろーらわん」。
特徴
LoRaは、ウルトラナローバンド方式を採用したIoT向け通信規格である。
アンライセンスバンドと呼ばれる周波数帯域を使用しているため、無線免許なしで利用できるのが特徴。
最大通信速度は250kbpsと非常に遅いのに対して、最大通信距離は10kmとかなり遠くまで通信できる。
電波は周波数が低いほど障害物に強く、遠くに飛ばすことができる。LoRaはWi-FiやBluetoothよりも低い周波数だから長距離通信が可能。
また、オープンな技術仕様として公開されているので、自由に改良して自営することも可能である。
LoRa Alliance
LoRaおよびLoRaWANは、非営利団体「LoRa Alliance」が普及活動を行っている。
LoRa Allianceとは、アメリカのSEMTECHが中心となって2015年に設立された、500社以上からなる業界団体である。
フランスのOrange、韓国のSKT、アメリカのIBM、中国のZTEなど、世界中から幅広いジャンルのIoT関連企業が加盟しており、日本企業ではソフトバンクが加盟している。
名前の由来
LoRaという名前は、低消費電力で遠くまで通信できることから「長距離」という意味の「Long Range」に由来している。
LoRaWAN
LoRaの通信技術を使用したネットワークを「LoRaWAN」と呼ぶ。
日本では主にSORACOMが商用化している。
2015年7月にVer1.0が公開され、現在は1.1が最新バージョンである。
名前のとおり、LoRa変調を使用しているが、FSK変調を使用しても良いことになっている。FSK変調だとLoRaより送信可能サイズが大きい。しかしデータサイズが大きくなればなるほど通信距離は短くなるため、FSK変調よりもLoRa変調が推奨されている。
LoRa変調を使用した無線ネットワークには、LoRaWANのほかに利用者によって独自開発された規格もあり、自営することも可能。
オランダのThe Things Networkという会社が運用しているLoRaWANは公開されており、誰でも使える。
仕組み
LoRaWANは基地局を介してIoT機器をスター型に接続することでネットワークを構築する。日本ではまだ基地局が全国を網羅していない。
チャープ信号を使った独自のスペクトラム拡散方式での変調を行う。チャープ拡散方式は軍事レーダーなどに使われていた方式である。
LoRaWANでは、電波を送信するには「送信休止時間」を設ける必要がある。これはデメリットになり得る部分ではあるが、IoT目的で使われるのには向いていると言える。
また、通信の安定度によって端末の通信データレートを自動的に切り替えるADR(Adaptive Data Rate)機能を導入しているため、デバイスと基地局との距離が近いときは受信感度を抑えて高データレートの通信を行う。
同じような通信方法にSigfoxがあるが、そちらは登録しないと使えないのに対して、LoRaは対応モジュールとマイコンボードがあれば誰でも試せるのが特徴である。
ArduinoやRaspberry Pi用のソフトウェアがGitなどに公開されている。