前回設計シートを公開しました。
今回はユニバーサル基板に配線して作りましたので公開しておきます。
回路図
入力FETはCPH6904を、出力段BJTにはTTC3710B/TTA1452Bを採用しました。
また、入力カップリングコンデンサレスのDCアンプになります。直流から増幅が可能です。
どちらも新規設計非推奨だったと思います。部品確保にはご注意下さい。CPH6904はMCH5908で置き換えができるかもしれません。
製作
トランジスタのの選別
まずそれぞれのペアとなるトランジスタ同士のを選別しました。
コレクタ(あるいはベース)とエミッタ間の電圧を測ります。
定電流回路を用意し、コレクタとベースをショートさせてコレクタに電流が流れたときのを測定しています。
大体 ぐらいの差になるようにペア取りしてます。
こんな感じで各トランジスタを紙に記載していき、ある程度集まったらペア取りします。
温度でが変化するので、何度か測定しなおしてからペア取りしたほう良いです。
配線
※ほぼ写真を取り忘れてました。
出力段から配線していきました。割と大変です。
カメラがクソなスマホで撮影したのでピンボケしてますがこんな感じになりました。ちなみにこの状態では動きません。
発振対策
+入力に対して、-入力に位相がπずれた信号が入って発振しないように対策を行います。大体位相が遅れてやってくるので、それを減衰させるか進ませるかになります。
今回行った発振対策を公開しておきます。コンデンサと抵抗(+コイル)を使用します。
発振が止まっても気を抜かず、負荷を繋いだりして本当に安定しているか確かめましょう。また発振状態では特に出力段に過大な電流が流れるため、電源を道連れにして壊す可能性があります。ですので、その状態であれば数秒程度で電源を切りましょう。
抵抗値・静電容量は発振が止まり始めた値から少し多めに余裕を持ったほうがいいと思います。
内部補償
それぞれのコンデンサが、Q1,Q2等で遅れた周波数成分を減衰させるためのバイパスコンデンサになります。大体合計約個分入っています。ここが足りなければ発振します。
ベース抵抗とZobelフィルタ
- トランジスタにもよりますが、大出力向けのだと遅い関係でが無いと発振します。最初はで発振が止まらずでやっと安定しました。
前述の方法で中々発振が止まらないなら、ここの抵抗を増やしてみましょう。 - Zobelフィルタですが、こちらも無いと発振することがありました。今回も挿入しています。
フィードバック部進相コンデンサ1
ゲインを決定している抵抗にコンデンサを接続します。
ベース抵抗で高周波成分を減衰させましたが、その分フィードバック信号の位相が遅れてしまいます。そこで遅れた位相を取り戻すための進相コンデンサになります。
ゲート抵抗とフィードバック部進相コンデンサ2
-
は発振防止抵抗です。これが無いと、音量調節可変抵抗を最大もしくは最小にしたときに発振しました。
おそらく配線がアンテナとなってループを形成し発振した可能性があります。
はその抵抗とでループを断ち切るための減衰フィルタ用コンデンサですが、省いても正常に動いています。 -
に並列に接続されたが第二の進相コンデンサになります。前述の遅れ位相をさらに進ませます。を増やしても発振が止まらなければこれを挿入します。
今回はを挿入してやっと発振が止まりました。出力段用トランジスタが相当遅いみたいです。
この手法はユニティーゲインアンプの位相補償に使えるのではないでしょうか?
調整
位相補償を終えたら、アイドリング電流とオフセット電圧を調整します。
先に言っておきますが、アイドリング電流を変化させると出力オフセット電圧が結構変化するので注意です。
できれば
アイドリング電流調整→出力オフセット電圧調整
の順番が良いと思います。
アイドリング電流調整
まず、電源を入れる前にこの抵抗をになるまで端に回しておきます。
次に電源を入れて、,あるいはの両端の電圧を測りながら半固定抵抗をグリグリ回していきます。この電圧をその抵抗値で割ったものがアイドリング電流です。
自分は にしました。
このときある可変抵抗が なのに数百以上突然流れたり、
点で急激に電流が増加したり、
入力の信号レベル調整用可変抵抗を回したときに電流が急変した場合、発振の可能性があります。
出力オフセット電圧調整
一段目に挿入したオフセット用可変抵抗をグリグリ回していきます。ある点で出力オフセット電圧が を下回ります。大体それぐらいになればいいと思います。
ただしFETの漏れ電流で音量調整可変抵抗を回すとを上回ることもよくあります。(CPH6904だとそうなりました)
なので妥協して以下になればいいかと思います。
オフセット電圧がずっと電源電圧付近から数台の場合、配線を間違っている可能性があります。
アイドリング電流を変化させると出力オフセット電圧が結構変化するので注意です。
できれば
アイドリング電流調整→出力オフセット電圧調整
の順番が良いと思います。
出力波形
272Hzの矩形波を入れてみました。妙なリンギングやオーバーシュートがほぼ無いですね。でも割とノイズが乗ってます。。。もしかしたら発振気味かも??それとも熱雑音の可能性もあります。まぁディスクリートアンプは今まで熱雑音らしきホワイトノイズが結構聞こえた経験が多いので、、、これぐらいは妥協でしょうか。。。
音の評価
高域がお化けのように出ます。特に金属音の弾け具合にシビレました。さらにリップ音などもものすごく聞こえて解像度お化けです。2SK2145よりCPH6904のほうが濃密で好きかもしれません。
最後に
最後にピンボケ満載の完動してる写真を載せておきます。
カスコードバイアス用LEDがカッコよく光ります。これ感動しますよ、完動だけに・・・w(このあとトド岩に流刑されました)。
あと、位相補償は結構苦労しましたね。暴走したせいで途中でバイアス生成トランジスタから閃光が見えて吹き飛びましたよ(えっ?そこ飛ぶ!?!?)。。。
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ログインしてコメントを投稿するお初です
回路図を見ていて少し気になった点があります。
Q13、Q14、Q19、Q20による定電流回路で、複数のカスコード回路の基準電圧を構成しています。単一回路の基準なら問題ないと思いますが、差動4回路(6素子)の基準を受け持つとなると、少し「重い」のではないかと感じました。
定電流回路は本来、出力インピーダンスが高い回路です。そのため各カスコードから流れ込む信号成分によって、基準電圧そのものが振られる可能性はないでしょうか。
カスコードの基準点は、DC的に一定なだけでなく、AC的にも低インピーダンスで動かない方が良いように思います。
そこで上下の基準点にエミッタフォロアを追加し、定電流回路は基準電圧の生成、エミッタフォロアは低インピーダンスでの駆動、と役割を分けると面白そうです。
LTspiceで現回路とエミッタフォロア追加回路の基準点の振れを比較してみたいところです。
こちらこそ、お初です。ご質問ありがとうございます。
そうですね、今回はこの組んだ回路がとりあえず動くのかを確かめたい!!という意味での実験的な要素もあったので、そのあたりのAC特性が雑になった部分はありますね。
一応説明しておくと、確かにトランジスタを4個駆動するのは大変です。ですのでそれらを加味して電流自体を5mA流しています。そしてR9、R11の電圧の振れを減らすためにC7とC8、LEDのVfの変化に対してC14を取り付けました。
今回のカスコード自体、AC特性よりも素子の保護を重視したので、振れの大きさまではそこまで考えてはなかったです。 ただ、ベース電流の変化による振れで実際に発振したことがあったので、その経験からつけたたのがC7とC8、C14(あと一段目のC3)ですね。
あと高密度実装が苦手なので、足の多いトランジスタを減らしたいという意味合いでこういう構成にもなってしまったかと思います。
確かにSpiceシミュレーションと結果が結構違うので、基準電圧の振れを比較するのも面白いですね。
次アンプを作るときにはそのあたりを再考しつつ、ダーリントンカスコード構成などで定電流回路の電流を減しつつAC特性が改善できれば面白いかもしれませんね。