この前ディスクリートヘッドホンアンプを作ったわけですが、差動増幅回路をゲインを導出して公開しておきますね。オペアンプとかアンプを作るときに参考にしてください。

次に初段のゲインを求めます。一つのJFETに流れるテール電流Itが流れているときの相互コンダクタンスをgm(It)とします。
It1≃It2≃It,R1=R2とすると
AV(JFET)=VinVout=Vin+−Vin−Vout+−Vout−
このときgmによって出力される電圧Voutは
Vout=R1,2It=gm(It)R1,2Vin=gm(It)R1,2(Vin+−Vin−)
そしてR1=R2としたとき
AV(JFET)≃gm(It)R1
ですね。
近似値となるのは、gm(It)がItによって変化するからです。
つまりゲインG(JFET)は
G(JFET)≃20log10(gm(It)R1)
gm(It)はItを増やすことによって増加するため、Itを増やすことによりゲインG(JFET)も増えます。

同じく差動増幅回路なので
AV(BJT)=VinVout=Vin+−Vin−Vout+−Vout−
ここでBJTの相互コンダクタンスgm(It)によるItは
It=gm(It)Vin
このときgm(It)は
gm(It)=VTIt
ボルツマン定数kと熱力学温度T、電気素量eで熱から得られた電子のエネルギーをeVとすると
eV=kT→VT=ek(273+t)
gm(It)=k(273+t)eIt=1.16×104×273+tIt
つまりItは
It=k(273+t)eItVin=1.16×104×273+tItVin
そしてR1=R2としたときのVoutは
Vout=ItR1=1.16×104×273+tItR1Vin
つまり増幅率AV(BJT)は
AV(BJT)≃1.16×104×273+tR1It
ゲインG(BJT)は
G(BJT)≃20log10{1.16×104×273+tR1It}
ItとR1,R2を同じ条件としたとき、ゲイン(増幅率)はJFETよりBJTのほうが大体大きくなります。
JFETのときと同様、Itを増やすことによりゲインG(JFET)も増えます。
AV(JFET)≃gm(It)R1
G(JFET)≃20log10(gm(It)×R1)
AV(BJT)≃1.16×104×273+tR1It
G(BJT)≃20log10{1.16×104×273+tR1It}
ちなみに、片方の出力(Vout+あるいはVout−)のみを使用する場合、AVは半分になります。つまりGhalf=G−log10(2)になります。
- バイポーラトランジスタやバイポーラ入力オペアンプでアンプを設計すると、ベース電流のカットオフするためのカップリングコンデンサを入れる必要が出てきます。


- バイポーラトランジスタはベース電流が常に流れます。またその電流は音量調整用可変抵抗にも流れてしまいます。その結果音量調整と同時に出力オフセット電圧が大きく変化してしまいます。
- それを阻止すべく、ベース電流をカットするためのカップリングコンデンサがCcになります。
- Rb2はQ1にベース電流を供給するための抵抗になります。
- ではベース電圧VBの周波数特性を求めて、適切なCcとRb2を求めます。
ラプラス変換の際の、複素微分演算子sは
s=jω
として
CcとRb2を直列RCフィルタを見て、その直列インピーダンスZは
Z(ω)=R+sCc1=sCcsCcRb2+1
つまりベース電圧VBは
VB≃ZVin+Rb2=sCcRb2+1sCcRb2Vin+
つまり入力カップリング回路のゲインGin+は
Gin+(ω)=Vin+VB≃sCcRb2+1sCcRb2=(ωCcRb2)2+1(ωCcRb2)2+jωCcRb2
また、位相ϕin+は
arctan(0ωCcRb2)≃2π
ϕin+(ω)=2π−arctan(ωCcRb2)
ここでωp=CcRb21としたときのゲインと位相は
Gin+(ωp)=j+1j=21+j→∣Gin+(ωp)∣=2√2
Gin+(ωp,log)=20log10(2√2)=−3[dB]
ϕin+(ωp)=4π
また、ωp=CcRb21よりこのポール周波数をfpとすると
2πfp=CcRb21→fp=2πCcRb21
またω=∞のときのGin+(ω=∞)
ω→∞lim(Gin+(ω=∞))→dωd(sCcRb2+1)dωd(sCcRb2)=1
ω→∞lim(Ginv+(ω=∞))=1
ω→∞lim(Ginv+(ω=∞,log))=0[dB]
となります。(ロピタルの定理で極限をゴリ押しました)
よってGin+のボード線図を描くと

またRb2のときの直流オフセット電圧Voffsetは
Voffset=hFE(Q1)R2It
これらをまとめると
- フィルターのゲインが一定になるポール周波数fpは
fp=2πCcRb21
このfpが低いほど低域が出やすくなります。カップリングコンデンサに 電解コンデンサ などを用いてCcを大きくし、fpをなるべく下げるのがコツです。
人間は 最低可聴周波数が20Hz と言われているので、fpが その周波数未満 にできるといいかもしれません。
- Rb2のときの直流オフセット電圧Voffsetは
Voffset=R2Iin+=hFE(Q1)R2It
R2の値に 比例して直流オフセット電圧が増加する ので、数mV 台まで にしてオフセット電圧調整ができればそこで打ち消しましょう。
- ω=2πfとしたときの入力カップリング回路の複素ゲインGin+と位相ϕin+は
Gin+(ω)=(ωCcRb2)2+1(ωCcRb2)2+jωCcRb2
Gin+(log)(ω)=20log10((ωCcRb2)2+1√(ωCcRb2)4+(ωCcRb2)2)
ϕin+(ω)=2π−arctan(ωCcRb2)
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